「序列の壁」に挑む

まずはアイスダンスの記事から。華やかな女子フィギュアの争いと並行して、トリノ五輪アイスダンス日本代表に渡辺心木戸章之組が選ばれました。

…明らかにわかるミスが少ないアイスダンスの採点には、「序列」という壁がある。欧米勢と戦う日本勢にとってはとりわけ難関…
…木戸は個人的意見と断った上で、こう解説した。「アイスダンスの評価は、審判の先入観と、実際の演技内容の半々で決まる。」
(平成17年12月26日付読売新聞夕刊から)

アイスダンスに限らず、体操やシンクロナイズド・スイミング、スキーのジャンプ競技の飛形点など、官能評価をともなう判定については、誰しもが「そうなんじゃないか」と思っていることではないかと思うのですが、それにしても本当にそうなら、こんなにはっきり言ってしまうとかえってジャッジの心証を害して損なのではないか?と心配になってしまうような記事です。まあ、この選手たちはそれを念頭に順位を上げるべく努力しているらしいので、これでいいのかもしれませんが。
それにしても、これはスポーツに限らず、人事評価でもありがちな話…というか、スポーツにも人事評価に似た面がある、というのが正確な言い方かもしれません。しかも、スポーツであればまだしもルールは共通で、「序列」が上だから制限時間が長い(のが有利かどうか知りませんが)とか、「序列」が下だからリンクが狭いといったことはないわけですが、人事評価の場合、高評価が定着した人にはいい仕事、大きな責任、優秀な多くの部下、多額の予算、その他さまざまな権限が与えられ、そうでない人はそれなりのものしかあてがわれないわけなので、「序列の壁」を克服するのはより難しい構造になってきます。
まあ、それでもそれが一応の根拠があってのことならそれでいいわけですが、はたしてアイスダンスはどうなのでしょうか。