覚え書き

今朝の日経新聞に、「国際文化フォーラム特集」が掲載されています。その中で、非常に印象に残る発言がありましたので、備忘のために転記しておきます。ひょっとしたら一昨日私がグダグダと書いたこととも若干のつながりはあるかもしれません。10月10日に法隆寺で行われた座談会「平和と文化」における、アル・コドゥス大学学長、パレスチナのサリ・アンワル・ヌセイベ氏の基調講演の一節です。

 文化とは平和に貢献し得るものか、対立を助長するものなのか…その両方の可能性を持つ。何が分かれ目になるのだろうか。私は世界観の違いによるものだと考えている。その一つが世界をさまざまな諸要素に分け、分断的、対立的に見る世界観。もう一つは分断や細分化ではなく、連続性に基づく世界観だ。
 一つ目の分断的な世界観は、極端な形の自己愛に基づくものだ。自他を区別して考え、自分の方が優れているのだと自己陶酔する。ある個人が持つ場合もあれば、ある民族が持つ場合もある。イスラム教徒にもユダヤ教徒にもそう考える人はいる。
 もう一つの連続性に基づく世界観では、自分を延長した存在として他者も尊敬する。他者を他者として考えるのではなく、自己の延長上にあると考える。つまり人間は連続体であるということだ。
(平成17年12月24日付日本経済新聞朝刊から)

現実は、個人も民族も、時と場合により、その間に限りなく広がるどこかに存在しているのでしょう。ただ、たしかに時折、自分以外を「味方(常に正しく善良)」と「敵(必ず悪)」とに分け、「勝ち」と「負け」でしか物事を考えないという人たちに出会うことがあります。そういう人たちとは、「対話」が成立しにくいのが残念です。でも、そういう人たちもたしかに「文化」をつくりだしているのですよね。