リストラ三題

なんか連日のリストラネタですが、今朝の新聞から三題。

政府系金融機関

 政府系金融機関のリストラが進んでいない。民間銀行が金融危機を受けて、この十年間で行員を37.1%減らしたのに対し、政府系は8.5%減にとどまる。
(平成17年11月16日付日本経済新聞朝刊から)

政府系を批判する記事ですが、民間が10年間で3分の1以上も行員を減らしているということに改めて感心?させられます。銀行にはまことに厳しい10年だったということでしょう。もちろん、この減少のなかには、分社化で切り離したり、派遣社員で代替したりした分も含まれているのでしょうから、職場の実態として人数がどれだけ減っているかはまた別問題でしょうが、それでも高給を取っている正社員を減らした効果は大きいでしょう。
それに対し、経営にいろいろ制約のある政府系には分社といっても簡単ではない、というハンデはあるのかもしれません。だとすると、日経新聞が単純に民間と横並びで比較しているのは若干過酷(?)でしょうか。とはいえ、政府系金融機関も高給で有名(まあ、大手都銀に対抗するために致し方ないことではありましょうが)ですから、本当に高給の行員がやるべき仕事なのか、という観点からの見直しは有効なはずで、こうした見直しができるようにしていくことが必要でしょう。
また、政府系は平均で8.7%減とはいっても、20.8%減と「民間並み」の削減を進めた商工中金を除けば0.2%〜2.4%の減少にとどまっています。政府系金融機関の統廃合が行われたのが99年ですから、もう5年以上経っています。もともと業務の重複を整理するというのも統廃合の趣旨だったはずですから、たしかにもう少し合併による効率化効果は出ていてもいいような気はしますので、ここは日経新聞の主張に同感です。

横河ブリッジ

 橋梁大手の横河ブリッジは15日、2006年8月の約1カ月間、全社一斉に臨時休業することを明らかにした。官公庁発注の鋼鉄製橋梁工事を巡る談合事件で指名停止処分を受け、橋梁工事の受注が激減しているため。
…お盆休みや全社員が同時に取得する有給休暇分を合わせ、実質的な「夏期休暇」は8月1−25日まで。大阪府堺市の橋梁製造工場では一カ月間、操業を全面停止する。営業や管理部門も8月を通して休業する。
 同社は8月分の給与の削減に加え、冬の賞与を社員平均で46万5千円と前年冬に比べ36%減らす方針。管理職は賞与減額を決定している。夏季の一斉休業と合わせ4億円の経費節減につながるという。
(平成17年11月16日付日本経済新聞朝刊から)

ちなみに、休業中の賃金は15%カットだそうです。もともとの夏季連休が年次有給休暇の計画的取得も含めて10日程度あるようなので、現実の給料の減少はそれほど大きくはないのかもしれません。一斉休業だと、光熱費などの節減効果も大きいですし、いっそ休んでしまえというのは有力な選択肢でしょう。
ところで、この休業は雇用調整助成金を申請するのでしょうか?形式的には受給要件を満たすような気はしますし、不祥事にともなう休業は対象にしないとの規定もなかったと思いますし…。まあ、非のない従業員が大多数でしょうから、雇用維持という制度の趣旨からして支払って悪いとも思えませんが…うーん。
いっぽうで、指名停止でダイレクトに雇用削減する企業もあります。

 日本鉄塔工業は15日、今年度内に希望退職を募り、橋梁と鉄塔の二事業を年度内にも分社化する検討に入ったと発表した。鋼鉄製橋梁工事を巡る談合事件で指名停止処分を受け受注が悪化しており、コストを削減する。
 人員削減は約270人いる本体人員の2割弱にあたる約50人とみられる。
(平成17年11月16日付日本経済新聞朝刊から)

談合を前提にした要員体制になっていたわけですねぇ。これは、橋梁を切り離していずれ撤退しようということなのでしょうか。

近鉄

 近畿日本鉄道は15日、2005年9月中間期の連結経常利益が前年同期比8%増の234億円になったと発表した。従来予想は18%減の180億円。修繕費など諸経費が予想を下回ったほか、野球事業の撤退でレジャー・サービス事業が黒字転換した。
(平成17年11月16日付日本経済新聞朝刊から)

うーん。これでは球団を売却したくなるのもむべなるかなです。