日本労働法学会大会

岡山大学で開催された日本労働法学会の大会に参加してまいりました。いま、岡山市内のホテルに戻り、「N響アワー」でお気に入りのウェーベルンパッサカリア」を聴きながら(見ながら?)書いています。とりあえずの簡単な感想ということで。
最初の鎌田報告については、かなり「なるほど」という部分がありました。ただ、委託、請負などの中に保護が必要なケースがあることには同感なのですが、それを労働契約法制でやらなければならないのか、という点についてはやはり疑問が残りました。委託なり請負なりの法制度のなかで解決していくべき問題なのではないかと思うのですが。
次の三井報告は、その主眼らしい「企業の社会的権力」というのの意味が結局わからずじまいでした。法学者からも質問が出ていましたから、とりあえずすぐにはわからなかったのは私だけではないらしい。具体的内容は、ごく単純化すれば「ここが規制されていないから規制すべき」ということで、これが契約法制とどう関係するのか?という点もわからずじまいでした。
続く川田報告は有期契約に関するきわめて意欲的な構想を示したものでしたが、「有期雇用は解雇規制を脱法するものであり規制すべき」というのは、実務家としては明らかに問題の立て方からして間違っているという感じが・・・だって、アメリカのように解雇自由なら、なにも期間を決めるまでもなく、必要がなくなれば解雇すればいいだけの話で、日本はそうではないから有期雇用のニーズがあるわけなんですから。
最後の野川報告は非常に力の入ったものでした。ただ、最後の変更解約告知と解雇の金銭解決についてはやや心配しすぎの感も。まあ、よくわかっていない使用者が偶然に懸念のような事態を発生させることはあるかもしれませんが、大方の場合、人員整理はこれまでどおりのステップをふむでしょうし、使用者が金銭解決を求めるのは労働者にも相当の非があり、職場復帰が使用者のみならず復帰する職場にも負担が大きい状況など、それほど多くはないのではないかと思います。
おっと、「N響アワー」で私の大好物のタコ8が始まった。これはブログ書いてる場合じゃないぞ(笑)。