「人間力」はトンデモ語か?

「キャリア辞典」のネタにしようと思っているのですが(笑)、本田先生のブログで話題になっているので少しだけ。
http://d.hatena.ne.jp/yukihonda/20051002


人間力」をふくむ本をアマゾンで検索してみると、この言葉がかなり以前から普通に使われていたことがわかります。それも教育分野が多いようで、「学力だけではない総合的な力」(?)といった意味で使われていることが多かったように見えます。もちろん、ビジネス本でも度々使われていたようで(人望あるリーダーは人間力が高い、とか?(笑))、まあ、誰でも思いつくような言葉だということでしょう。
それが現在使われているような行政用語になったのは2002年に経済財政諮問会議が出した「経済活性化戦略」のなかに「人間力戦略」というのが取り上げられて以来のようです。2000年頃にはあまり省みられず、もっぱらスポーツ、それも学校スポーツの世界の言葉だった「人間力」(たとえば、甲子園出場チームの監督が「野球が上手いだけではなく、人間力で勝つ」とか言ってみたり)が一躍行政用語になったのは、どうやらノーベル化学賞を受賞した野依良治氏の貢献が大きいようです。野依氏は、研究テーマを選ぶときなどには、若い頃に身につけた知識や教養などの「人間力」が大切だ、といった調子で、あちこちのインタビューや講演などで「人間力」を連発したようで、それを経済財政諮問会議が取り込んだのであろうことは容易に想像がつきます。
もっとも、経済財政諮問会議の「人間力戦略」はかなり幅広い内容を含んでいて、かならずしも「人間力」という言葉から一般的に連想されるような内容とは限りません。また、これをうけて設置された内閣府の「人間力戦略研究会」(座長・市川伸一東大教授)は、報告書で「人間力」を一応定義づけています(これがまたいろいろに読めそうな定義ではあるのですが)。はたしてこれが「トンデモ語」かどうかというと・・・うーん、通俗化しておかしな使われ方(それこそ、「人間力」でも予算が取れるという現実もあるとかないとか)をしているという実態はあるような気はします。
というわけで、これに肉付けをして「キャリア辞典」で2回くらいの連載にしようかと(笑)。「インディペンデント・コントラクター」をもう1回は書くので、1ヵ月近く先にはなりますが・・・\((;◎_◎)/!アッ!そういえば「キャリアデザインマガジン」を出したのにまだホームページを更新してないや(笑)