自民圧勝

二大政党制(というか、小選挙区制)では偏った結果が出るのもありがちなことだと知ってはいますが、実際に起きてみるとなんとも・・・これが二大政党制確立への道ならいいのですが、自民一党独裁+多数の無責任野党という構図への逆戻りだとしたら困ったことです。
これについての当面の分析や解釈はさまざまなメディアで流れていますが、当然ながらさまざまな要因が複合してこの結果になったのだと思います。詳しい分析はこれからでしょうが、とりあえずメディアであまり言われていないようだった(どこかでは言われているのではないかと思うのですが)私の感想をいくつか。


第一に、私自身多摩地区に在住していることもあり、今回の選挙で非常に印象的なのがご近所である東京、神奈川での自民党の躍進と民主党の後退です。東京では小選挙区の当選者は25区中23区が自民で民主は1人だけ、神奈川でも18区中16人が自民で民主は0人です。ちなみに前回民主が圧倒した「1区」でも今回は与党系の32勝15敗とかで、これまで民主が強いとされてきた都市部で今回は自民が圧倒しているわけです。
これは素直に「都市」対「地方」の構図で読むことはできないのでしょうか。昔から地方は保守、都市は革新という構図がありましたが、地方に手厚い政治、たとえば一票の格差、地元への公共事業などの利益誘導、新幹線や高速道路の赤字路線の建設などといったスタイルの政治は、これまでは自民党のものとされてきたように思います。これに対して民主党は都市政党というイメージがあったわけですが、今回自民党郵政民営化反対派を「切り捨てた」ことが「地域への利益誘導」派、旧来型の政治家の排除として有権者の目に映り、あたかも自民党が都市型政党になったかのような(本当になったのかもしれませんが)印象を与えたのではないでしょうか。実際、東京や神奈川の選挙民の相当割合は「過疎地の特定郵便局」なるものを利用したことがない、下手をすると見たこともない(少なくとも意識的には)人々でしょうから、特定郵便局長の利益を守るということはすなわち地方の既得権を守ることに見えたとしても不思議ではありません。
第二に、投票率が予想以上に高く、しかも若年層の投票率が従来に較べて高かったこと、さらにその多くが自民党に投票したらしいこと(これはラジオでそう言っていただけなので、本当にそうなのかはわからないのですが)は、ブログで「フリーター・ニートの投票」を扱ってきた身としてはたいへんに印象的です。
世代の特徴を安易に一般化することは厳に慎まなければならないことはよく承知していますが、根拠のない印象論とおことわりしたうえで感想を書きますと、やはり若干世代による意識の違いがあるのではないか。日本人の意識の特質として「判官びいき」ということがよく指摘されますが、私もふくめ、今の中高年にはたしかにそういう傾向があるように思われます。また、今の中高年の青年時代には、基本的に若者の意識は権威や体制に反発する傾向があったと思います。
今回、本当に従来に較べて若年の多くが自民党に投票したのだとすれば、それはこうした部分で今の若年と中高年が異なっている、日本人の意識が変化しつつあることの現われなのかも知れない。まあ、体制や権威への反発という意味では、郵政民営化反対派に対して反発したのだと見ることができるかもしれないので、必ずしも若年が体制や権威に迎合的になってはいないのかもしれないとも思います。ただ、判官びいきという意識は薄れて、むしろ「勝ち馬に乗る」という傾向が強まっているのではないか、というのは、必ずしも若年だけではなく、中高年も含めての印象として感じるところです。
まあ、どちらも印象論ですし、メディアではあまり言われていないように思われますので、私の勘違い、思い込みに過ぎないかもしれません。いずれにしても、従来にない背景のもとに行われ、従来にない結果の出た選挙ですので、今後のさまざまなデータの紹介や、専門家による詳細な分析が興味深く待たれるところです。