連帯責任

高校野球の名門、高知県明徳義塾高校が、予選を勝ち抜いて全国大会(いわゆる「甲子園」出場が決まったにもかかわらず、不祥事が発覚したため出場を辞退するのだそうです。部員の喫煙と部内での暴力沙汰が発覚したのだとか。


まあ、明文の規則なのか不文律なのかは知りませんが、こうした不祥事があった学校は大会(予選や地区大会も含むらしい)への出場資格を返上しなければならないというのがルールらしいので、いかに甲子園開幕直前とはいえ、規則どおりに運用するなれば致し方のないところなのでしょう。とりあえず全国大会には高知県予選決勝で敗退した学校が出場するようなので、まだ早い段階でよかったのかもしれません。これで大会が始まってしまい、しかも明徳義塾高校(強豪らしい)が何勝かしてしまったあとに辞退、ということになったらますます難儀な事態だったでしょう。ドーピングのような勝敗にかかわるアンフェアな行為ではなく、単純な不始末の連帯責任で参加資格を剥奪するのも過酷な感はありますが、これも高校野球は学事であり教育の一環であるという建前からはそうあるべきだということになるのかもしれません(もっとも、明徳義塾高校のような名門校の選手には多分にプロ的な要素もあるとは思うのですが・・・)。
それにしても、レギュラークラスや甲子園でベンチ入りするクラスの選手であれば、些細な不始末も大事につながるという意識のもとに身を律してきたでしょう。それが、名門校ではあっても校内の競争に負けて個人としては甲子園とは無縁の選手の不祥事まで連帯責任を負わせるというのは、いささか不自然な感もあります。下手をすれば、不遇ゆえに他の部員の活躍を快く思わない一部部員が、意図的に軽微な不祥事を起こすことで、自身の安全をはかりつつ「出場辞退」に追い込むことすら可能かもしれません。まあ、ある意味こうしたルールは部員が数十人程度の学校であれば当然なわけで、部員数百人などという「野球名門校」のほうが不自然なのだということなのかもしれませんが。
これを企業経営に投影してみると、高校卒で入社した18歳の新入社員が、職場の歓迎会で飲酒したり、休憩時間に職場で喫煙したりしているといったことが「絶対にない」とは言い切れない企業もあるのではないでしょうか。そういうことまでコンプライアンス上の問題点として指弾されるとしたら、その良し悪しは別として、なかなか大変な問題です。ましてや、自身の不遇を逆恨みした社員が意図的に不祥事を起こすようなことがあったとしたら・・・まあ、これはそういう社員を出すような不出来な人事管理しかしていない企業の責任ということかもしれませんが。こういう考え方を全否定できる企業もまた多くはないのかな、とも思ってしまいます。