大学生は本能的に知っている・・・

きょう、某団体の某会合で少子化対策について元経企庁の小峰隆夫さんのお話を聞く機会がありました。話の内容としては経済環境の変化に対応することが少子化対策にもつながる、といったものでしたが、お話のあとの質疑でこんな一幕がありました。

聴衆からの質問:小峰氏は労働力流動化が少子化対策になるというが、雇用が安定したほうが安心して子どもを生むのではないか?
講師(小峰氏):そういう人は多いし、実は学生たちも多くはそう思っている。しかし、私はそう思わない・・・

このあとは、例によって「企業に頼らなくてすむプロフェッショナルになることが本当の安定だ・・・」といった陳腐で的外れな所論が続き、いまだにこんなことをこれだけの人たちの前で本気で言っている人がいるのかと唖然としましたが、それはそれとして私が感心したのは実は学生たちも多くはそう思っているというくだりです。


小峰氏はいまは法政大学教授で、この発言も法政大学の学生のことを言っているように受け取れました。とすると、

  1. 法大生は教員と違ってよくわかっている。大企業はそれほど簡単にはつぶれないし、仮に転職するにしても、大企業はそれなりに人材育成に優れているから、賃金は下がるかもしれないが、それにしてもそれなりの賃金での再就職の機会も多くなるということを学生は鋭く察知している。これは、超一流大を出て経済企画庁のキャリアになった小峰氏にはない本能的嗅覚でしょう。
  2. その裏返しですが、法政大学といえば東京六大学の名門という有名私大ですが、その学生でも小峰氏のいうような「プロフェッショナル」になることは難しいと感じている。いわんや名門でも有名でもない大学の学生をや・・・。

結論として、小峰氏は経済政策や経済学はおおいに研究し、学生にも教えられればと思いますが、キャリアや就職については口を出さないほうがよろしかろうか、ということです。