談合逮捕者の弁護費用

 数日前ですが、業界を揺るがしている鋼鉄製橋りょうの談合事件で、逮捕者の弁護士費用を企業が負担することの是非を問題視する報道がありました。

 鋼鉄製橋梁(きょうりょう)建設工事を巡る談合事件で、逮捕された14人が勤務する企業11社のうち3社が、容疑者の弁護士費用を負担していることが毎日新聞の調べで分かった。業務上横領や窃盗事件では通常、弁護費用を会社が負担することはなく、独占禁止法違反事件が「会社のための犯罪」であることを改めて裏付けた形だ。今後、弁護費用の支出は違法だとして株主代表訴訟を起こされれば、企業側が敗訴する可能性もあり、対応を疑問視する声が上がっている。

企業法務に詳しい国広正弁護士の話
 無罪を主張するなら弁護費用の負担も理解できるが、容疑を認めるなら多くの問題点をはらむ。支出の正当化には「談合は会社のための行為で、社員がかわいそうだ」という情緒論が想定されるが、企業が順法を前提にした公的な存在である以上、違法行為の擁護とも言える支出は大いに疑問だ。株主代表訴訟の対象にもなり得る。
(平成17年6月14日付毎日新聞朝刊から)

どうなんでしょうかね。どちらかというと、「会社が負担するのはけしからん」というほうが感情論のような気もしますが。
今回の事件は、担当者が異動すると後任に引き継いでいたということですから、業務として、会社が与えた裁量の範囲内で行われたものであることは間違いないでしょう。その点に会社が責任を認めて、本人の情状を訴えたいとの趣旨があるのなら、弁護費用の支出が「違法」とは考えにくいのではないでしょうか。
そもそも、「正義派」各位の感情論としても、本人を困らせて喜ぶよりは、やらせた(に等しい)会社にしっかり費用を負担させて落とし前をつけさせるほうが筋という気もするのですが。