「常に競争」は時代遅れ

これは今日の記事です。土井利忠ソニー・インテリジェンス・ダイナミクス研究所所長のインタビュー。

「米国の大学の礼賛論には全く賛成できません。米国の大学は、教授がベンチャー企業の経営者のようになって研究資金を集めなければならない。カネを集められる教授が研究者をたくさん抱えてどんどんのし上がっていく仕組みです。本来の研究とは関係のない競争が展開されているわけです」
 ――そうした競争による弊害が大きいと。
 「とにかくすさまじい勢いで競争をさせるので、他の研究者の成果を盗んでしまうという話もよく聞きます。油断もすきもない世界です」
(平成17年5月30日付日本経済新聞朝刊から)

まあ、だからこそおカネになるのでしょうが・・・。


これを読んで、例の中村修二氏が「アメリカに行って4倍忙しくなった」とコメントしていたことを思い出しました。これまでは会社(の他の人)がやってくれていたさまざまな仕事を全部自分でやらなければいけないわけですから、それは忙しくなるでしょう。中村氏ははたしてアメリカで日亜化学在籍時を上回る研究成果をあげることができるのでしょうか・・・?
まあ、日経の編集委員も懐疑的に書いているように、「カネになる」研究成果はいまのところ日本より米国のほうがはるかに大きいのでしょう。ただ、土井氏がいうように、本当にカネになる研究だけをやっていくのがいいのかどうかという問題は、研究者にとっては重大なものなのだろうと思います。
門外漢の私にはもちろん結論はありませんが、「ソニー」という営利企業の研究所長がこうした発言をしている、ということには重いものがあるような気がします。