報酬は自分の働きに十分な額か

これも日曜日の記事から。SUNDAY NIKKEI αの「Theチョイス」というコラムです。

現在の報酬は自分の働きに十分な額だと思うか。40―55歳の働く男女に聞いたところ「十分でない」と考える人が62%に達した。男女差はほとんどない。
 「八年間昇給していない」と嘆くのは東京都の女性(44)。神奈川県の男性(40)は「払わなくて済むなら払いたくないという姿勢が会社にある」。景気など仕方ない面があるとはいえ、賃金の扱いに不満を持つ人は多い。報酬に納得している人には「リストラが多い世の中なのに、自分はラッキー」と、ひそかに胸をなで下ろす向きもある。
 同じ企業に同期で入社したのに賃金の差が大きいというケースも増えている。内閣府の調査によると、40代の最高賃金は企業内で同年代の最低賃金の1.66倍。50代でも1.62倍だった。
(平成17年5月29日付日本経済新聞朝刊から)

意識のいろいろな側面が見えて面白い。


賃金に不満というのもいろいろなバリエーションがあるようで、東京都の女性(44)の「上がらない」ことに不満を感じるのが1つ。経験を積んだ分能力は上がっているはずで、それで賃金が上がらないのだから不満に感じるのも当然です。もっとも、この間物価は下がっているので、企業からすれば実質では上がっていると言いたいでしょう。人間どうしても「額面」で判断してしまうという一面も見えてきます。
神奈川県の男性(40)のように、賃金水準そのものというよりは、企業の姿勢への不満が賃金への不満になるというパターンもあるようです。
さらに他人との比較というのも不満の大きな原因になるようです。この1.66倍が40代(41〜50歳?)の中の格差なのか同期の格差なのかはわかりませんが、同期で7割近い格差が出れば、それはよほど明確な理由がなければ不満が出るに決まってますよね。
逆に不満を感じない理由として、「リストラが多い世の中なのに、自分はラッキー」というのは、他との比較で納得している、ということでしょう。この人が実際にどうかはわかりませんが、上がってなくても同期に負けていても、「リストラされるよりは」と思えるのかもしれません。このあたり、個人のキャラクターによってもずいぶん違いそうです。
まあ、いずれにしても人間はどうしても自分を過大評価しがちなもので、賃金への不満も昔から常にあるもの。個人的には、62%とはずいぶん少ないなというのが率直な感想です。まあ、これも聞かれれば格好をつけて「まあ、こんなもんだよ」と答えたくなる質問かもしれませんが・・・。