本省手当

本日の読売新聞朝刊によると、中央官庁の本省勤務者に「本省手当」が支給される方針だとか。

 人事院は14日、中央省庁の本省勤務の国家公務員を対象に「本省手当」を新設する方針を固めた。
 課長補佐級以下の約4万人弱に、基本給の8%を上限として支給する方向で検討している。地方勤務の国家公務員に比べ、勤務が多忙とされる本省の若手職員に対して一定の収入を保障し、人材流出を防ぐのが目的だ。同時に、官民格差是正のため、人事院勧告の対象となる国家公務員約30万人の基本給を全国一律で引き下げる。この削減分を本省手当の財源とする考えだ。

 本省の若手職員の処遇については、人事院の「地域に勤務する公務員の給与に関する研究会」が昨年7月にまとめた報告で、「長時間の超過勤務が慢性化し、人材確保上も悪影響が生じている」として、英国などで制度化されている本省手当の必要性を指摘していた。
 官民の給与格差については、2004年4月の支給分では北海道・東北ブロックで、公務員給与は民間賃金より4・77%高かった。逆に、東京都では、民間賃金が3・72%上回っていた。
 人事院は、最大格差に合わせて基本給を一律削減する方針で、削減幅は5%程度になると想定している。削減で民間より給与が低くなる都市部では、「地域手当」を新設して調整する。地方公務員の基本給は国家公務員に準じており引き下げの影響を受ける。本省手当新設で、中央の国家公務員と地方公務員の給与にはさらに格差が生じる。
平成17年3月15日付読売新聞朝刊より

というのですが。いささか、考え方が混乱している感を禁じ得ませんね。
 
本省の若手の賃金が低すぎる(私もそう思いますが)のなら、おかしな手当をつけるのではなく、本省と地方の賃金テーブルを別にして、賃金そのものを上げればいいだけの話です。別々にできないというのなら、本省勤務者の賃金等級を上げればいい。このほうが、本省勤務でもそれほど賃金が高くなくてもいい人は等級を低くすればいいわけなので、より微調整が効きます。
いっぽう、地域によって異なる官民格差を是正するというなら、地域別に手当をつけて調整するというのもありうるでしょうが、これはつまるところ(地方によって異なる)生計費基準で賃金を決めるということですから、本省の仕事が大変だからとかいうこととは無関係のはずです。
そもそも、「長時間の超過勤務が慢性化」しているのが問題だというのなら、数%の手当を積むなどという姑息な手段を講ずるのではなく、正々堂々とすべて残業として計上し、割増賃金を支払うことが先決ではないでしょうか。最近、厚生労働省は民間企業に対して「タイムカードの記録どおり分単位で労働時間計上し、割増賃金を支払え」という行政指導をしているという噂ですよ。まずは霞ヶ関から法令遵守の姿勢をお示しになってはいかがでしょうかね?!
余計なことながら、賃下げを食らわされる地方勤務の方々にはお気の毒としかいいようがないですね。彼らだってなろうことなら本省勤務したいところを泣く泣く?地方勤務しているわけで、そこにさらに賃下げとは・・・。まあ、それなりに激変緩和措置はとられるのでしょうが(ところが、そういうことをするとまたマスコミが叩くんだよな)、こちらはまことに同情を禁じ得ません。