またまた「店長に残業代」

先週の日経から。1月28日のエントリのフォローです。

 東日本で和風レストラン「まるまつ」を運営するカルラは人事制度を見直し、来年三月をメドに店長に残業代を支払うことを決めた。今年一月の東京地裁日本マクドナルド残業代訴訟判決を重視。店長の職務内容を洗い直して管理職から外し、手当なども変更する。判決後、セブン―イレブン・ジャパンが店長への残業代支給を決めたが、待遇改善の動きが外食大手にも広がってきた。
 新しい制度では、全社員の一割強に当たる約百四十人の店長に一般社員と同様に残業代を支給する代わりに、店長手当を大幅に減らす。給与全体に占める基本給の割合は引き続き約七割としながら、手取り額がほぼ同額になるようにする。
 店長の管理業務を減らし、店舗運営に集中させる。例えばパート・アルバイトを含む店舗従業員の勤務シフトなどは、店長ではなく会社が決める。一方で三月からタイムカードと連動した新しい勤怠管理システムを全店舗に導入し、店長の勤務時間も本社で把握。過剰勤務にならないようチェックする。
 セブンイレブンの場合、直営店店長の管理職の位置づけは変えず残業代を支払うが、外食業界には店長の職務内容があいまいな例もみられ、カルラに追随する企業が出てくる可能性がある。
(平成20年2月22日付日本経済新聞朝刊から)

まあ、「一般社員と同様に残業代を支給する代わりに、店長手当を大幅に減らす。給与全体に占める基本給の割合は引き続き約七割としながら、手取り額がほぼ同額になるようにする」というのは、セブン・イレブン・ジャパンと同様の「賢明な対応」と申せましょうが、この事例が面白いのは「店長の職務内容を洗い直して管理職から外し」というところです。「店長の管理業務を減らし、店舗運営に集中させる。例えばパート・アルバイトを含む店舗従業員の勤務シフトなどは、店長ではなく会社が決める」というのは、要するに店長から権限を大幅に剥奪するよ、ということでしょう。おそらくは、それが「過剰勤務にならない」ためには必要だ、ということなのかもしれません。
はたして、この変更を歓迎している店長はどのくらいいるのでしょうか。もちろん、仕事は楽になるけれど手取額は変わらない、というのですから、これは間違いなく労働条件の向上でしょう。しかし、権限を奪われて降格感を感じている人や、別に残業代なんかいらないから、勤務シフトを組んだりとか、権限を持って管理業務をやりたい、それによって実績をあげてさらにエリアマネージャーなどの上級職位につきたい、と考えている人も、少数派かもしれませんが(案外多数派かもしれません。それはないか。)いるのではないかと思います。本当にいるのかどうか、いるとしたらどのくらいの割合か、興味深いところです。なんとなく、そういう店長が多い会社のほうが活力のある会社なのではないか、という気がするのですが、そうでもないでしょうか。