もひとつどうだ!日経病!!

 しばらくぶりに出たかと思ったら、本日二つめです(笑)。こちらは経済解説部の記者「シグナル発見」というコラム(「経済解説部」ですから解説記事でしょうか)です。
 

シグナル発見「流入は製品だけでない、中国からビジネス手法も――企業風土に異変」
 
 日本以上に実力主義が徹底している中国。米国流ともひと味違う独自の仕組みが日本にも浸透しつつある。
 民営企業に日本のような終身雇用制がない中国。家電最大手の海爾(ハイアール)集団が始めたとされる「淘汰(とうた)制」は、その成果主義人事の象徴だ。業績にかかわらず成績下位の従業員を解雇する制度だが、最近はパソコンの聯想レノボ)集団や日本の家電メーカーの現地法人にも広がる。
 淘汰制ほどでないにせよ中国式の成果主義は日本にも入り込みつつある。二〇〇一年に民事再生法を申請したアキヤマ印刷機製造(現アキヤマインターナショナル)の事業を買収した中国の電機大手、上海電気集団は、当時係長の近藤朗氏を日本での実質トップに抜てきするなど実力主義の人事制度を導入した。
 中国出身者を役員に起用する上場企業も目立つ。現地での陣頭指揮者を経営陣に招くケースが多いが、長い目で見れば日本の企業風土を変えていく可能性がある。

 …特殊と思われたそのビジネス風土は日中の経済関係が深まるとともに日本の産業界に根をおろし始める兆しがある。
 
(2005/02/21付日本経済新聞朝刊)

いやはや、日経は相変わらず終身雇用制が憎いようですが、よほど長い目でみるならともかく(それは誰にもわからないでしょう)、少なくとも「淘汰制」が日本の日本企業にも「浸透」することはありえないでしょう。その理由は、以前、2月11日のエントリで書いた「囲い込み症候群」批判と重複しますので繰り返しません。
金融決済などと較べると労働の慣行はきわめてローカルなもので、中国に進出した日系企業が中国の慣行に従うのもむしろ普通です。また、法的手続によって再建中の企業を中国資本が買収した一例や、中国ビジネスを展開する企業が現地の中国人を登用する例がいくつかあるからといって、それで「根をおろし始める兆し」というのもちょっと・・・。
これまた、他人が「淘汰」されるのがうれしいという本音が透けてみえて笑えるものがありますが、一日で二つも出たところをみると、このところ私があまり気にしていなかっただけで、日経病はけっこうあちこちで出ていたのかもしれません。