ストックオプション

ストックオプションによる利益を給与所得とする最高裁判決が出ました。一応、個別の実態判断も入っており、必ずしもストックオプションの利益が一般的に給与所得とする判断ではないようですが、ほぼこれでこの問題は決着がついたといっていいでしょう。
まあ、職務の対価であると考えるのは素直でしょうし、判決は妥当だろうと思いますが、この問題については、税務当局が、ストックオプションが広がり始めた当初はその利益を一時所得としていたにもかかわらず、普及が進んだ段階で給与所得と解釈を変更したことが問題視されてきました。そのため、同種の訴訟は100件以上も起きているそうです。
もちろん、行政の現場には、実態に応じた取り扱いをするために一定の裁量権は必要でしょうし、今回のケースも、数的にも金額的にも拡大するストックオプションの実態にあわせて解釈を変更したのだとは言えるでしょう。しかも今回はそれが最高裁で追認されたわけですから、それで正当だったといえるでしょう。
とはいえ、世間では、法律や通達(行政解釈)を杓子定規にあてはめ、実態を乖離した運用を行なったり、実態に反する恣意的な裁量行政が行なわれるケースも散見されるようです。今回のケースも、すでに米国では先行してストックオプションが普及していたわけですから、その段階できちんと法的に手当てをしておけばこうした混乱は招かなかったはずです。やはり、基本的にはなるべく行政官の恣意が入らないような立法が必要ではないかと思います。