銀行員、十年連続減少

今朝の日経新聞によれば、金融機関のリストラで、銀行員が十年連続で減少しているのだとか。いわゆる正社員は94年の約46万から、今年は30万人弱と10年で3分の2という激減ぶり。金融機関では賞与を中心に賃金水準も見直しが進められています(もっとも、それでもまだ世間よりかなり高いようですが)し、受難の10年間というところでしょうか。
いっぽうでサービスのほうは確実に改善しているわけで、ユーザーからみれば格別利便性が低下しているわけではありません。3分の1も減らして十分やれているということなら、以前はよほど仕事が楽だったんでしょうねぇとイヤミのひとつも言いたくなります(しかも、世間水準を大きく上回る高給だったわけですし)。まあ、銀行員諸氏は決して楽という実感はなかったでしょうから(むしろハードワークだと考えられていた)、非効率、というのが正確なところでしょうが。
もっとも、金融機関にも言い分はあるかもしれません。
この数字は正社員の人数なので、正社員がパートや派遣などに置き換わっている可能性はあります。というか、間違いなくそうでしょう。もっとも、減少した正社員がすべて非典型に置き換わったとしても非典型比率は30%強で、世間一般の水準と同レベルですから、それほど威張るほどのことでもなさそうです。まあ、「他人の現金を扱う金融機関」(かつてはこれが高給を正当化する理由の一つとされていた)では、他の産業のようには非典型を増やせないという主張もありましょうが・・・。とはいえ、国有化されたりそな銀行では非典型比率が4割にもなるそうです。ただ、これは国有化のもとで早期の業績改善を急ぎすぎて(なにせ賞与ゼロなどという荒療治をやっているくらいなので)、いささか行き過ぎになっている心配もありそうです。
それから、金融機関は業界再編で大型合併が相次いだことで、正社員が減少してもやっていけているのだ、ということは当然あるでしょう。実際、合併にともなう支店の統廃合はかなり進んでいるようです。とはいえ、都心などではまだまだ店舗の重複も目立ちますから、効率化の余地はまだ多そうです。
結局のところ、護送船団方式のもとでの非効率はすさまじいものがあったということでしょうか。記事によれば正社員減少のいっぽうで証券会社OBを中途採用するといった戦略的な人員増強の動きもあるとか。ようやく不良債権問題の目処が立ちそうだということで、金融庁はいきなり「世界一をめざす」という意欲的なアドバルーンを上げはじめましたが、それはそれで戦略的事業拡大の一方で一層の効率化も避けがたいわけですから、銀行員もかつてのようにとりわけ恵まれた特権階級、ということではなくなったのでしょう。まあ、それでもかなり恵まれた存在ではありましょうが。