回復する正社員雇用

土曜日の日経新聞の1面トップで報じられていました。

 企業の正社員雇用回復が鮮明になってきた。総務省が二日発表した二〇〇六年の労働力調査では、正社員数が前年比三十七万人増の三千四百十一万人と、〇二年の調査開始以来初の増加に転じた。企業は景気回復を背景に、定着率の高い正社員を確保し、事業拡大や団塊世代の退職などに備える。製造業を中心に運輸、福祉などの業種で人手不足感が強く、今後も雇用拡大が続きそうだ。
…正社員を増やす理由は人手不足感の高まりだ。厚生労働省が発表した二月の労働者過不足判断DI(「不足」から「過剰」を引いた値。プラス幅が大きいほど雇用不足感が強い)も正社員の不足感がパートを約十四年ぶりに上回った。
契約社員やパートなどを正社員に切り替える企業も出ている。
…「企業が正社員という条件を出さないと人が集まりにくくなっている」(リクルート)という。定年の延長や再雇用で、高齢者を正社員として維持する流れも根強い。
 一月の有効求人倍率は、一倍超の求職者の「売り手市場」が続く。十五―三十四歳の若年フリーターは、〇六年の百八十七万人と三年連続減った。家事や通学をせず、職業訓練も受けていない「ニート」とよばれる若年無業者も〇六年は前年比二万人減った。フリーターやニートから正社員になる動きが出ている。
(平成19年3月3日付日本経済新聞朝刊から)

期待成長率の低下や産業構造の転換などを背景に、非典型雇用比率はかつてのように下がることはないでしょうし、均衡失業率も上昇しているでしょうから、失業率も以前ほど低くなることはないでしょう。大切なのは、30代以下の若年層の非典型雇用比率を下げていくことだろうと思います。まだそれほど大きな数字にはなっていないのかもしれませんが、その流れは強まっているようです。
なんとか、多くの若年非典型雇用に恩恵が行き渡るまでの間、景気回復が続いてほしいものです。労働力人口減少という追い風があるのですから、効果は期待できるはずです。
また、こうした現実は、おかしな規制ではなく、民間企業の活力を生かしていくことが好ましいということは、雇用政策においてもあてはまっているということを示しているのではないかと思います。