ビジネスガイド5月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』5月号(通巻902号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

ビジネスガイド 2021年 05 月号 [雑誌]

ビジネスガイド 2021年 05 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2021/04/09
  • メディア: 雑誌
 今号の特集は3つで、第1特集は「同一労働同一賃金非正規社員の待遇差想定問答」です。待遇差に関する説明義務が中小企業にも課されたことを受けてのもので、聞かれたらどう答えようと不安を感じている中小企業経営者の方には参考となるものでしょう。第2特集はフリーランスガイドラインに関する先月号の特集の続きですね。そして第3特集が「国税庁FAQを踏まえたテレワーク制度設計と運用」というもので、たしかにテレワークだと経費等々の算定が難しい場面はおおいに想定されるわけで、国税はちゃんとそれらに関する考え方や計算方法などをガイドラインで示しているのですね。まあ徴税のためには当然のお仕事ではありますがさすがだと感心することしきり。
 なお八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は今回は待機児童問題を取り上げ、旧来の児童福祉法にもとづく福祉施策から、高齢者介護のようなサービス供給促進策への転換を訴えておられます。
 また大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は、今回は「ジョブ型」が取り上げられています。世間にはきわめてインチキな”ジョブ型”がまかり通っているわけですが、大内先生は経団連の『経労委報告』2020年版と2021年版が論じている「ジョブ型」(欧米で一般的なジョブ型とは異なるもの)をていねいに解説し、それが必要とされている理由と、それが広く普及拡大したときの人事管理について考察されています。私はジョブ型あるいは「ジョブ型」がどの程度普及するかについては大内先生に較べて懐疑的ではありますが、仮に普及したらこうなるだろうなと思います。というか、すでにそれが一般的になっている欧米に近いものになるだろうという話なわけで。いずれにしてもインチキな”ジョブ型”を振り回している向きには熟読していただきたい記事です(読まなきゃいけない人に限って読まないだろうけど)。