日本労働研究雑誌4月号

(独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』4月号(通巻717号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

日本労働研究雑誌 2020年 04 月号 [雑誌]

日本労働研究雑誌 2020年 04 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/03/28
  • メディア: 雑誌

 4月号は例年初学者向けに短い解説記事を集めた特集が組まれていますが、今年のテーマは「平成の労働市場」です。賃金や失業をはじめとして、女性、高齢者、外国人、あるいはワーク・ライフ・バランスといった多様性の観点や、労使関係や労働政策に至るまで、幅広いテーマについて、綺羅星のごとくまことに豪華なそれぞれの第一人者が平成期の動向についてまとめ、評価しています。佐藤・藤村・八代『新しい人事労務管理』を通読した初学者や、経団連の『春季労使交渉・労使協議の手引き』で現状を把握した新任人事担当者にとっては、近年の経緯を振り返るに恰好の文献といえそうです。
 私自身振り返ってみても、平成元年から平成11年、平成18年から平成23年の計15年間は人事担当者でしたし、直接の人事担当者ではないものの労働政策に関わっていた時期も含めれば平成30年間の8割は労働市場に関わってきましたので、この特集にはさまざまな記憶が呼び起こされますし、感慨を覚える部分も多々あります。『労務事情』誌の昨年1月1日・15日合併号に掲載された「”平成”の労務管理」という座談会に呼んでいただいたとき(
「労務事情」1月合併号座談会「“平成”の労務管理」 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)
)には冒頭でこんな発言をしましたが、今考えても実務担当者の実感としてはこういう感じだったかなあと思います。

 平成の30年は、経済環境が悪化するなかで構造改革が叫ばれてきたことが、企業の人事管理にも非常に大きな影響を与えた時代だったと思います。ただし、さまざまな変化はあったものの、昭和の時代に大切にしてきた日本的な人事管理というものは、かなり温存されていると思います。裏返せば、日本的な人事管理のよいところを守るべく労使で苦戦してきた30年という考え方もできるのではないでしょうか。

 もちろん、それゆえに労働市場の二極化や就職氷河期問題なども発生してしまった、という側面に議論は展開していくわけですが。