城繁幸氏

城繁幸氏もブログで相対的貧困率を取り上げていたそうで。10月26日付のエントリです。
http://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/800449bed9d02c61c1bcf2b1c66d578e

 もうあちこちで、それも数年前からさんざん言われている事実なのだが、鳩山さんも驚いているようだから、ちょっとだけフォローしておこう。
 厚労省が発表した相対的貧困率なる数値には、なんの意味も無い。
 年金や資産のみで生活する人間と、現役世代以上に稼ぐ自営業の混在する高齢者が増えれば、こういった相対的な数値では格差拡大と出てしまう。
 さらに日本の場合、年功賃金による人為的な歪みも存在する。
 他国同様に存在する現実の格差に、若者と50代の賃金格差が上乗せされるわけだ。

「なんの意味も無い」かどうかはともかく、鳩山さんの驚きには意味が無いことはご指摘のとおりでしょう。
ただ、「年功賃金による人為的な歪みも存在する」というのは、賃金が年功的に上昇する国ほど相対的貧困率が高く出る傾向があるという統計的には当たり前のことを言っておられるのですが、それは「賃金で生計費がカバーされている」ことの反映でもあるわけで、別段社会的に問題があるというわけではありません。というか、そもそも相対的貧困率に意味は無いと言ったすぐあとに、年功賃金の「人為的な歪み」で「格差が上乗せ」されて相対的貧困率が上がるのはけしからん、と主張するのも変な話だと思うのですが。
で、このエントリの結論はこうです。

 ついでに鳩山さんへもアドバイスを一つ。
上に述べたように、相対的貧困率などに何の意味も無いのだが、心配ならとりあえず労働市場の完全流動化を実施するといい。それだけでヨーロッパ並みには「平等な国」になれますよ。

すみません、これの意味がわかる人がいたら教えてほしいのですが。
労働市場の完全流動化」を実施している国があるのかどうか知りませんが、とりあえず先進国の中でそれに比較的近いのは米国でしょう。で、米国が「ヨーロッパ並みに平等な国」だというためには、かなり特殊な定義が必要となる(どういう定義をすればいいのか私にはわかりませんが)でしょう。
普通に考えて「労働市場の完全流動化」は格差拡大につながるでしょうから、それを平等化するにはかなり強めの所得再分配が必要になるはずです。これはおよそ「とりあえず」「それだけで」というレベルではないでしょう。
城氏はこの前日(10月25日)のエントリでも、最後にこうかましています。
http://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/131b20a10968145a63ccf85b78fccab0
朝まで生テレビに出た感想とのことですが…

 それにしても。3年前には、流動化なんて言葉は一切出なかった。
 それが、東氏を含めて、議論の前提条件として語られていたことには、
隔世の感がある。
 止まっているように見えても、時代は着実に動いているのだろう。

「3年前には、流動化なんて言葉は一切出なかった」って…3年前どころか、20年前にはもうさんざん言われてたと思うんですけどね…orz