雇用保険料率、1.2%に上げ 労使が大筋合意

きのうの日経新聞1面に掲載されていました。NIKKEI NETからの引用です。

 厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会は28日、雇用保険の料率(労使折半)を2010年度に賃金の0.8%から1.2%に引き上げることで大筋合意した。引き上げは7年ぶり。09年度の保険収支が約8千億円の赤字となる見込みで、労使の負担抑制より保険収支の改善を優先する。長妻昭厚労相が来年3月末までに最終判断するが、家計や企業の負担が増えるため、流動的な要素も残っている。

 雇用保険の財源については国が13.75%を拠出し、残りの86.25%を労使折半の保険料で賄う。同日の審議会では保険料率を08年度の水準である1.2%に戻し、国庫負担割合も25%まで引き上げるべきだとの認識で一致した。

 保険料率が0.8%から1.2%に上がると、月収30万円の会社員の保険料は月2400円から3600円に増える。このうち家計の負担増は月600円となる。昨年秋からの金融危機と景気低迷で保険収支が大幅に悪化しており、料率の引き上げが避けられないと判断した。(00:46)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20091029AT3S2802E28102009.html

民主党マニフェストではすべての労働者を雇用保険の被保険者にすることになっていますが、これはそうした制度変更にともなうものではなく、現行制度下での純粋に収支計算上の話のようです。被保険者の範囲を拡大すると失業リスクの高い被保険者が増えることになりそうですので、給付の設計次第ではありますが、保険料率のさらなる引き上げが必要となる可能性もあるかもしれません。
さて、今回の引き上げに関しては、そもそも前政権が現行の0.8%に引き下げた際に公労使三者三者とも「雇用失業情勢が悪化しているときに、妙なことをするものだ」と思っていたわけで、まあ予想通りの展開といえましょうか。大筋合意とのことですから、一応は家計・企業の負担増も合意されているはずで、「流動的な要素」が残されているとすれば政治の部分でしょうか。はたして、現政権も前政権と同じように負担増を嫌うのか?前政権は総選挙を意識して料率引き下げに踏み切ったと思われますが、とりあえず今回は民主党マニフェストには「引き上げない」とは書いていませんし、別にここで料率を引き上げたところで次回参院選への影響はほとんどないでしょう。まあ、雇用保険にもムダづかいがあるから、料率引き上げの前にまずはムダづかいの排除で財源確保…という建前を貫くという考え方はあるかもしれませんが…。まあ、おそらくは今回はすんなり引き上げということになるのでしょう。
家計としては負担増600円は痛いかもしれませんが、失業リスクの高い時期に失業しないですんでいることはありがたいと考えていただけば、失業者への互助的給付のための負担増も理解いただけるのではないでしょうか。