Wikipediaにおける御用組合

池田先生がWikipediaを引用されたので、私もWikipediaの「御用組合」の項目を閲覧してみたところ、こんな説明がされていてちょっとびっくり。

概要
 本来、被用者(労働者)によって組織されている労働組合は、労働組合法によって雇用者(使用者)側の直接の介入を禁じるものと定義づけられているが、間接的な介入によって合法的に、または司法の目を盗んでの直接的な介入によって雇用者側は労働組合を手中に収める事が可能である(例えば組合幹部の出世を約束することを引き換えに首切りや賃下げに応じさせる、など)。こうして雇用者側に支配された労働組合をこのように呼ぶ。これらの行為は日本においては労働組合法で黄犬契約として禁止されている。
 被用者に対する賃金の引き下げや労働条件の変更などは、労働組合の了承をとらねば施行することができない(法的に絶対そうだとは言い切れないが、経営上労組と決定的に対立していては円滑なリストラは困難なのが実情)ため、御用組合がある企業においては、雇用者は被用者の社会的な生殺与奪の権利すら得ることになる。経営者と癒着した労働組合幹部が、労働貴族と化すことも少なくない。
 かつての総評は、全日本労働総同盟系労組を「御用組合労使協調」とする主張した
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%A1%E7%94%A8%E7%B5%84%E5%90%88

おそらく早晩修正がなされることとは思いますが、これはひどいですね。
冒頭部分からかなり変ですが、少なくとも「これらの行為は日本においては労働組合法で黄犬契約として禁止されている。」というのは明らかに間違いです。いうまでもなく、黄犬契約とは労組に加入しない、あるいは労組を脱退することを条件とする労働契約のことですね。
また、「被用者に対する〜」の段落についても、労組の理解・協力がなければリストラが困難だというのは概ねそうだとしても、労組が了承すれば賃金の引き下げや労働条件の(不利益)変更がすべて可能かといえば当然そうではなく、労組の了承はこれらの合理性を判断する一要素にすぎません。
ちなみに、履歴をみると「これらの行為は日本においては労働組合法で黄犬契約として禁止されている。」という追記は2009年5月15日 (金) 23:16Tom-springという利用者の方によって行われているようです。まあ、比較的最近なので明らかな間違いも見過ごされているのでしょう。 「被用者に対する〜」の段落の記述は、2005年1月5日 (水) 13:52にEszigという利用者の方がこの項目を作成して以降、基本的にそのまま放置されているようですが…orz
自分で直すのが正論なのかもしれませんが、面白いのでそのままにすることにしました(笑)。誰かが修正する前に、ぜひ見て笑ってください。というか、wikipediaってこのくらいの正確性だと思って使わないといけないんですねぇ。