なんか、おかしい

きょうの日経新聞夕刊の記事です。

 派遣労働者の労災が、製造業への派遣解禁後に急増していることが二十一日までに、厚生労働省調査で分かった。派遣が解禁された二〇〇四年(一、二月は未集計で十カ月分)の被災者は六百六十七人だったが、〇七年は五千八百八十五人に上った。厚労省は現在、労働者派遣法改正の検討を進めているが、今回の調査結果が議論に影響を与える可能性もある。
 厚労省安全課は「製造業など事故に遭う可能性の高い職場に派遣労働者が増えたことが急増の背景にある」と調査結果を分析。「派遣先や派遣元には安全教育などの対策を進めてもらいたい」としている。
(平成20年8月21日付日本経済新聞夕刊から)

これはどうなんでしょうか。労働災害はもちろんあってはならないことですが、派遣だろうが直接雇用だろうが、製造現場では災害が多いということに変わりはないのではないでしょうか。こういう言い方だと、派遣が労災にあうのはいけないが、直接雇用ならかまわない、というように取れてしまうと思うのですが、考えすぎでしょうか?
まあ、たしかに派遣だと安全教育が行き届かないとか、派遣先責任があいまいになるとかいった問題はあるかもしれません。とはいえ、それは安全教育の徹底や派遣先責任の明確化によって対処されるべきものですし、その上で構造的にそれが困難な職種などがあるのだとすれば、それについては派遣就労を制限するというのが筋というものでしょう。もし今後、これをうけて「製造派遣を解禁したら労災が増えた、だからまた製造派遣はすべて禁止だ」という発想になっていくとしたら、それはいかにも短絡的で非科学的な議論ではないかと思います。