全特、民主支持に転換

今朝の朝日新聞から。これも一応は労働問題の側面があるかもしれません。全特もずいぶん無節操な印象ですが、まあ圧力団体というのはこんなものなのでしょう。民主党はといえば、去年の今ごろ国民新党社民党と共同で「郵政民営化凍結法案」を提出しているくらいなので、敵の敵は味方というだけの話でもないのかもしれません。

 民主、国民新両党は16日の党首会談で、民主党衆院選公約に郵政民営化の見直しを明記し、国民新党推薦の民主党候補を郵便局長の政治団体が支援することで合意した。全国郵便局長会(全特)の幹部も同席しており、自民党を支えた「郵政票」が野党共闘に流れることになりそうだ。
 会談には、民主党の小沢代表、国民新党綿貫代表のほか、両党幹部が出席し、全特の浦野修会長が同席した。小沢氏は「郵政民営化の見直しをするためにも、政権交代をまずは果たさせてもらいたい」と協力を要請。綿貫氏も「政権交代を実現した上で郵政を抜本的に見直すことはまさに日本を守ることにつながる」と応じたという。
 合意文書では、民主党郵政民営化の抜本的見直しについて「国民新党の主張を十分考慮の上、選挙公約に明記し、政権獲得後に必ず実現する」と約束。国民新党は党推薦の民主党候補者の当選に向け、郵便局長らの政治団体郵政政策研究会郵政研)とともに全力を尽くすと明記した。具体的な見直し内容は両党と郵政研で協議する。
(平成20年7月18日付朝日新聞朝刊から)

うーん。まあ、小異を捨てて大同につく、とでもいうのでしょうかね?(違うかな?)
で、国民新党は、先般の参院選当時、こう公約していました。

  • 参議院議員選挙後、郵政民営化修正法案を提出し、郵政三事業(郵便・貯金・保険)一体経営を堅持するための必要な見直しを行う。
  • 郵便局ネットワークの維持活用を図るとともに、三事業すべてのサービス提供を義務化する。
  • 夢と希望のある郵便局づくりを推進する。

http://www.kokumin.or.jp/seisaku/senkykouyaku.shtml

ここはどうしたって「夢と希望のある郵便局」ってのはどんなもんなのさ、と突っ込みたくなるところですが、それはそれとして、民主党のほうはどうなっているかというと、実は「マニフェスト」では郵政民営化への言及はありません。ただ、選挙を前にした「2007政策リスト300」という文書では郵政改革にもふれていて、2005年に民主党が提出した「郵政改革法案」を紹介しています。それがどんなものかというと、

  • 郵便および郵便貯金については国の責任で全国サービスを維持する
  • 郵便貯金については預入限度額を段階的に500万円まで引き下げて肥大化を防ぐ
  • 保険業務については分割民営化する
  • 特殊法人独立行政法人等、「出口」の改革をすすめる
  • 公社の役職員を非公務員化する
  • 天下りを禁止する

http://www.dpj.or.jp/special/seisaku_list300/images/seisaku_list300.pdf

ということだそうで、とりあえずこの文書はこの考え方が維持されるように読めるものになっています。
さてさて、民主党は「国民新党の主張を十分考慮の上、選挙公約に明記」するとのことですが、となると国民新党のこだわる「三事業一体」に配慮して「保険業務については分割民営化」を撤回することになるのでしょうか。郵貯の規模縮小も民主党の従来からの主張ですが、これも国民新党からすれば「夢も希望もない話」ということかもしれませんし…。
ところで、国民新党は「非公務員化」はいいんでしょうか。とりあえず、全特は特定郵便局長が非公務員になったおかげで表立っておおっぴらに政治活動ができるようになったようですが…。そういえば、特定郵便局がなくなって、全特も全国郵便局長会と名称が変わったわけですが、略称は相変わらず「全特」なんですね?ま、これは気にするほうがバカなんでしょうが…。