体育会系、復権の兆し?

土曜日の日経夕刊「日時計」というコラムです。ちょっと面白かったのでご紹介。

 ▽…「元気のいい体育会の男子を集めてください」。今年初め、駒沢大学の就職担当者はメガバンクの人事部門からこんな頼みを受けた。「悩むより身体を動かす若手がほしい」という。
 ▽…最近の人事担当者の最大の仕事は新人の引き留め。いくら手厚いサポートをしても、彼らは悩み次々やめる。その繰り返しに疲れたのか。集団の中で役割をこなすことに慣れた体育会系の人材なら、長く働いてくれると期待したらしい。
 ▽…集めた学生三十人のうち二人が内々定。実はここ数年、体育会の学生の就職は「芳しくなかった」。そこに降ってわいた復権の兆し。「スポーツに強いウチには追い風」と大学担当者は盛り上がっている。(曜)
(平成20年4月26日付日本経済新聞夕刊から)

1990年代なかば以降、かつて企業のシンボルであった運動部がリストラのシンボルとして休廃部する動きが拡大しましたので、たしかに大学の運動部員がスポーツで就職するのは困難さを増しているのでしょう。いっぽうで、当然ながらスポーツの教育的意義は競技力にとどまるものではないでしょうから、それ以外の部分が見直されるのはけっこうな話で、ある意味ダイバーシティ・マネジメントのひとつかもしれません。
これは単に運動部員は根性があるとか言われたことを文句を言わずにやるとかいった単純な問題ではないでしょう。新卒は未熟練ですから、最初は当然仕事はできない。なにをしたらいいのか、どうすればいいのか、本当にうまくいくのか、今からこんなことで将来やっていけるのか…などなど、悩みはじめたらきりはないでしょう。そういうときに、実は大切なのはわからないなりにやってみることであり、一人で悩まずに回りに聞いたり頼んだりしたりすることだというのはほとんどの人は経験的に学んでいくわけですが、それをすでに知っているのが体育会系人材だ、ということではないでしょうか。
駒澤大学といえば硬式野球部は東都大学リーグ1部の強豪で、OBも東芝から読売ジャイアンツ高橋尚成投手、阪神タイガース新井貴浩内野手、日通から日本ハム武田久投手などが活躍していますし、箱根駅伝でも毎年活躍しています。競技をやめても社会で有用な人材の輩出を期待したいものです。