驚きの判決

今週はブログを休むつもりでしたが、いろいろとネタもあるので(笑)少しずつ書いていきます。今日はこの土曜日の夕刊から、ちょっとびっくりするような判決です。

 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ」の工場で請負社員として働いていた吉岡力さん(33)が「実態は偽装請負」と内部告発した後に不当な扱いを受け解雇されたとして、同社に損害賠償や直接雇用の確認を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は二十五日、「松下プラズマとの間で暗黙のうちに労働契約が成立したと認められる」との判断を示した。
 直接雇用の義務を認める一方、契約の成立自体は否定し、慰謝料四十五万円の支払いだけを命じた一審判決を変更し、男性の直接雇用による職場復帰や慰謝料九十万円と未払い賃金の支払いなどを命じた。
 若林諒裁判長は、男性が業務請負でなく違法な派遣労働だったと指摘し、請負会社との雇用契約が「当初から無効」と認定。無効にもかかわらず松下プラズマで勤務し続けた実態について、指揮命令の状況などを踏まえ「法的に根拠付けるのは労働契約以外ない」と結論付けた。
 松下電器広報グループの話 主張が認められず、極めて遺憾。判決をよく検証した上で、上告する方針。
(平成20年4月26日付日本経済新聞夕刊から)

これは驚きました。まあ、判決文を読んだわけではないのでなんともいえないのではありますが、なにせ直接雇用しないために請負を活用しているわけですから、それが偽装か否かとかは別として、いくらなんでも松下プラズマディスプレイが「暗黙のうちに労働契約」を結んだとはいえないのではないかと思うのですがどんなもんなんでしょうか。違法な派遣労働だからといって、労働者と派遣先との間に当事者の意思とはまったく異なる効果を生ぜしめるというのはさすがに私的自治の原則を大きく逸脱しており、論外ではないかと思いますが…。松下さんは当然上告するでしょうし、偽装請負の撲滅や不安定雇用の救済にはもっと別の適切な対応がとられるべきでしょう。