労働条件分科会

労働基準法改正などを審議する労働政策審議会労働条件分科会の委員が変更となり、厚生労働省ホームページに名簿が掲載されています。今回は、公益委員が2年半ぶりに交替しています。

荒木尚志 東京大学大学院法学政治学研究科教授
今田幸子 労働政策研究・研修機構特任研究員
岩村正彦 東京大学大学院法学政治学研究科教授
大沢真知子 日本女子大学人間社会学部教授
鬼丸かおる 弁護士
廣見和夫 労働問題リサーチセンター理事長
村中孝史 京都大学大学院法学研究科教授

なんといっても目をひくのは大沢真知子先生が加わったことで、とりあえず審議会の再編が行われて以降、はじめての経済学者の委員ではないでしょうか。ワーク・ライフ・バランスの論者ということで選ばれたというところだろうと思いますが、意図しているかどうかは別として、規制改革会議あたりの経済学者不在批判に応えた形にもなっています。WLBは格別、大沢氏は解雇規制などについてはけっこう規制緩和論者という印象がありますので、どんな議論になるのかが注目されます。
あと、参議院で不同意になった労働保険審議会委員に、平野由美子氏に代わって任命されて同意された鬼丸かおる氏が加わっているのも注目されます。鬼丸氏は中央最賃審議会の委員でもありますので、労働問題の専門家なのだろうとは思いますが、率直なところあまり記憶にない先生で、これまたどんなご意見をお持ちなのか気になるところではあります。
労使の委員もそれぞれ入れ替わっていますが、使側では名物委員?の奥谷禮子氏が残念ながら?交替となってしまいました。同じく女性委員の山下美砂氏も交替で、代わって大坪眞子NTTコミュニケーションズヒューマンリソース部人事・人財開発部門担当部長、田中恭代旭化成人財・労務部EO推進室部長が就任しています。お二人とも業界では著名な女性で、論調は実務的で無難ですので、奥谷さんのような刺激的な(笑)発言は期待できそうもないのが残念です(?)。
いずれにしても、みなさん大変立派な方々ですが、それにしても女性委員の選出には苦心があるようです。
ちなみに、日本ハンドボール協会会長として大いに男をあげた大崎電気社長の渡邊佳英氏は引き続き委員を務められるようです。
まあ、荒木先生、長谷川氏、紀陸氏といったコアなメンバーは残留していますので、それほど議論の風向きが変わることはないのかもしれませんが、新メンバーの活躍が楽しみです。