労働関連三法案、成立厳しく

今朝の日経新聞から。

 与党は三十一日、最低賃金のかさ上げなどを盛り込んだ雇用ルール見直し三法案のうち、一定時間以上の残業代の割増率を引き上げる労働基準法改正案の今国会成立を断念した。次期国会に向けた扱いについては会期末に協議する。最低賃金法改正案と労働契約法案の二法案の成立は目指す。
 衆院厚生労働委員会は同日の理事会で、十一月二日に政府提出の雇用ルール見直し三法案と民主提出の最低賃金法改正案、労働契約法案の実質審議入りを決めた。自民、民主の同委理事は審議と並行して二法案の修正協議を開始。二法案については民主も理解を示しており、今国会成立の可能性も残っている。
(平成19年11月1日付日本経済新聞朝刊から)

うーん、なかなか厳しい情勢ですね。まあ、労基法については月80時間以上に限り割増率を引き上げ、しかも中小企業は猶予といういかにも無理のある内容なので、これは継続審議よりはいったん廃案にして、ホワイトカラー・エグゼンプションも含めてあらためて仕切り直しにしたほうがいいかもしれません。
最賃法改正は安倍政権の成長力底上げ戦略では重要な位置づけが与えられていたわけですが、政権とともに底上げ戦略もふっとんでしまった感がある(そうでもないかな)現状においては、それほど急ぐこともないということなのでしょうか。まあ、来年の通常国会までに成立すれば、次回の最賃改定の際には今年のような無理な理屈を捻り出す必要はないので、たしかにあわてる必要はないかもしれません。
問題は労働契約法で、実は成立しなくても一番困らないのがこれだという意見もあるようですし、法理論的にもなにかと問題含みだという指摘もあるようで、急ぐ必要はないじゃないかという考え方もあるでしょう。しかし、こればかりはせっかく法案が提出されたこのタイミングでなんとか成立させておかないと、なくてもすぐには困らないだけに先送りされ続けていつのまにか消滅してしまう危険性があります。たしかに今回の法案はそれほど内容も多くはなく、問題点もあるかもしれませんが、やはり労働契約の基本的なルールの必要性は高いわけで、菅野和夫先生がどこかで言っておられたと思うのですが、労働契約法はまず小さく生んで大きく育てていくことが必要だろうと思います。
これら法案の審議日程が厳しくなっているのは、民主党が年金保険料流用禁止法案を出したり、あるいは独自の最賃法や契約法を出したりしているところにも一因であるわけで、民主党もあまり欲張らず、少なくとも契約法は、できれば最賃法も、今国会での成立に協力してほしいものだと思います。