武石恵美子先生

きょうの産経新聞に登場しておられました。出番は「【政策を問う】子育て支援」。

 −−官民で子育て支援策が拡充されている割に、なかなか成果があがらない。なぜか
 「例えば育児休業についていえば、取得する人がまだまだ少ない。女性の取得率は高いといわれるが、これは出産時点で働いている女性を分母にした数字。実際には出産前に退社する女性は多く、こうした女性も含めれば取得率は1割強にすぎない。出産を機に専業主婦になる女性が多いこともあって、男性の取得率はきわめて低く、厚生労働省の調べでは(平成16年度に子供が生まれた男性会社員に占める割合は)0・5%だ」
 −−最近は男性の取得者が出たことをアピールする企業も増えてきた
 「次世代育成支援対策推進法の認定を得るには、男性の取得者がいることが条件の一つ。そうしたことも影響しているのだろうが、実態を見てみると、実績作りのために1週間だけ育休を取るといったケースが多い。ゼロよりはいいが、『男性の育休は1週間』と固定化されては問題だ」

 −−成果主義の導入が長時間労働に拍車をかけているとの見方もあるが
 「成果主義は本来、ワークライフバランスと親和的なはず。子育てで休暇を取得しても、その後、仕事で成果を上げれば挽回できるのだから。ところが、目標の設定に問題があったり、長時間働いてくれた部下を高く評価する上司が依然として多いというのが実情だ」
 −−子育て支援策をより実効性あるものにするには
 「現在の政策は育休にウエートをかけすぎている。本来、子育てという家庭の事情はニーズが多様で、政策として対応するのは難しい。各企業の労使の協議を基本にしながら、政府は労使の取り組みを促進・支援することが大事。英国では労使が働き方を見直していく際に生じる諸費用分を政府が助成するなどの施策を行っている。日本でも参考になるだろう」
(平成19年5月31日付産経新聞朝刊から)

男性の育児休業は実績づくりのために一週間だけ、というのはいかにもありそうな話で、認定制度を作ってその要件にすれば当然こういうことは起こるでしょう。まあ、千里の道も一歩から、です。
成果主義に関して言えば、「その後、仕事で成果を上げれば挽回できる」というのは建前としてはそうですが、やはり簡単ではありません(簡単にやってしまう超人的な人も中にはいますが)。どうしたって、休んでいる間、他の同僚は仕事をして能力を伸ばし、さらにアドバンスした仕事に取り組んでいるわけで、そこのハンディは当然あるものとして考えていくことが必要でしょう。