野川先生のツイート

その野川先生が最近ツイッターに進出されたようで、活発に発言しておられます。どこかの誰かとは大違いだ(笑)。いや実は環境的にツイッターがものすごく使いにくいんですよ。なんとかしてくれえ。
さて昨日のこのツイートに反応してみたいのですが、

 同じことを何度もツイートしてきましたが、日本の企業はなぜ、「わかった、解雇はもっと自由にしたいから人事権は縮小して結構だ」と言えないのでしょうか。「解雇は自由にしたい」、「絶対的権限としての人事権も手放したくない」という「いいとこどり」は、雇用が契約である限りできない。
http://twitter.com/theophil21/status/26527759475

結論部分は同感なのですが、前段の疑問については「そんな思ってもいないことを言うわけない」ということだろうと思います。もちろん、以前ご紹介した(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20100616#p1)hamachan先生の調査などをみてもわかるように、安易な解雇が広く行われている残念な実態もありますし、劣悪な労働条件もあるわけですが、とりあえず「辞令一枚で職種変更や海外駐在が行われる」レベルの「絶対的権限としての人事権」を行使している企業の経営者で「でも解雇は自由にしたい」と思っている人はあまりいないのではないかと思います。いやまあ経営者の中には奥谷禮子さんとか宮内義彦さんとか、解雇自由化論者もいることはいます*1が、こういう人たちはそれこそ「絶対的権限としての人事権も手放してけっこうだ」と言ってるわけでしょうし。
解雇を自由化しろとか言っているのは、一部の労働研究者でない経済学者とか極論が売りのインチキ評論家とかであって、以前も週刊ダイヤモンドの解雇解禁特集に関するエントリ(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20100825#p1)で書きましたが、世の経営者の大半は「労働者は同じように働いてくれて、それで解雇だけはもう少しやりやすくなるならいいなあとは思うけれど、そりゃ無理だよね」という現実をよく承知しているものと思います*2。実際、これまで規制改革会議やらなにやらが「解雇規制の緩和」を繰り返し打ち出してきましたが、その際の経団連(傘下の各社)の態度は決まってまことにリラクタントなものでした。というか、むしろ明確に反対する例も多かったと思います。

*1:ウラを取っていないので奥谷さんや宮内さんが本当にそうかどうかは不確実です。言いがかりだったらすみません。

*2:いやまあ、「態度が悪いからクビ!」ではありませんが、本当に就労態度が悪く、周囲に会社に対する悪意をまきちらし、職場の雰囲気をいたたまれないものにしているような人でも安易な解雇は難しいという現実もあって、そういうケースに対してなんとかならないのか、というミクロの本音もあるだろうとは思いますが。