こんな提案どうでしょう

土曜日(4日)の東京新聞によると、連合の高木会長は正社員とパートの格差是正のためには正社員の賃下げも必要との見解を示したそうです。これまでも労組幹部は口先ではこういった発言を繰り返していますが、どこまで本気やら。

連合の高木剛会長は3日、本誌などのインタビューに応じ、…パート社員と正社員の賃金格差を是正していくため、正社員の賃下げや昇給の抑制によって、パート社員の賃上げを図ることも「論理のうえでは必要」との考えを明らかにした。

「現在は正社員組合であるため、そのような(正社員を賃下げして格差を是正するような)発想に入り込めない。しかし将来的にはそうしないと…」
(平成18年2月4日付東京新聞朝刊から)

まあ、「論理のうえでは」というところにそこはかとなくやる気のなさが漂っているのではありますが(笑)、本気で考えているのならこんな提案はいかがでしょう。パートの組織拡大と格差縮小を大幅に前進させる妙案(??)だと思うのですが。


とはいっても非常に単純な考え方で、なにも経営サイドを動かして賃金を変更させるまでもなく、労組自身が直接的に格差縮小に乗り出してはどうか、ということなのですが。

  1. パートに限ることもないので、非典型全体を視野に入れます。
  2. 一般加盟や地域組織・産別組織でやると大変なことになる可能性があるので、まずは非典型比率が世間並(3割程度)の企業別労組でやってみるのがいいでしょう。
  3. さて具体論ですが、まずは正社員の組合費を大幅に値上げします。2003年に実施された連合総研の「第14回労働組合費に関する調査」によれば組合費は月平均で5,177円、月額賃金の1.69%ということですから、まあ消費税並(笑)の5%に値上げすれば月15,000円強、約10,000円の値上げになります。これによって事実上賃下げに近い形を作るわけです(本当の賃下げに較べれば割増賃金や退職金の計算に影響しない分マシともいえます)。
  4. で、この月10,000円を原資にして、労組に加入した非典型雇用の人に「逆組合費」として配分します。これで事実上非典型雇用の賃上げに近い形をつくるわけです。これなら非典型雇用の人たちも喜んで労組に加入することでしょう。
  5. 格差是正効果としては、単純に配分すれば、非典型比率が3割ならば月23,000円程度になります。この中から非典型の組合費として3,000円徴収すれば(おお、なんと労組財政の強化にもつながるではありませんか)残りは月20,000円で、月あたり30,000円の格差是正となります。
  6. 結果として非典型の人は年間で240,000円という少なからぬ増収となります。パートについては周知のとおり年収100万円が一つの目安になっているわけですから大幅増収といえるでしょう。

…とまあ、要するに労組みずから所得再分配するといういたって単細胞なアイデアで、冗談レベルの思いつきなのであまり本気にしないでほしい(笑)のですが、しかし、労組幹部が軽々しく(?)口にする「正社員を賃下げしても格差是正」というのは、現実にはこれほどのことをやるということではないでしょうか。それでも労組が本当に本気でやる気があるのなら、このくらいのことを打ち上げてみてはどうでしょう。労組の真剣さがまことによく伝わるだろうと思うのですが。