ワーク・ライフ・バランス(4)

 平成16年6月に発表された厚生労働省の「仕事と生活の調和に関する検討会議」報告書をみてみよう。以前にも紹介したが、この報告書では「仕事と生活の調和が図られている状態とは、一定の制約のある時間帯の中で働く者が様々な活動に納得のゆく時間配分ができるような状態であるということができる」とされている。したがって、総論に続く各論の最初に「労働時間について」が来る。おもな論点は2つあって、ひとつは労働時間を短くして生活時間を増やしましょうという点で、具体的には時間外労働の削減と年次有給休暇の取得促進があげられている。失業者や、労働時間と所得の増加を望んでいる人からすれば余計なお世話だろうが、全体的な傾向としてはそういうことなのだろう。もうひとつは労働時間の自由度を高めようというもので、労働時間規制の緩和などがあげられている。

続きを読む

ワーク・ライフ・バランス(5)

ワーク・ライフ・バランス(5)

 このところ、少子化対策のひとつとしてワーク・ライフ・バランスが取り上げられることが増えているようだ。昨年9月に発足した安倍内閣少子化対策を政策の重点事項のひとつとして位置づけているとのことで、この2月には有識者を集めた『「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議』も発足している(この手の会議は乱立気味で、いささか影が薄い感もあるが)が、この会議においても「児童手当や育児休業給付の拡充など経済的支援が中心だった少子化対策の方向性を、「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)重視に転換し、少子化対策を再構築する」方針だと報じられている(平成19年1月29日付毎日新聞朝刊による)。はたして、ワーク・ライフ・バランスは少子化対策として有効なのだろうか。

続きを読む