ビジネスガイド10月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』10月号(通巻962号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「改正労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、労働安全衛生法と企業実務」「実務に直結する重要通達」「職場のモラル・ハラスメント対応」の3本です。最初のものは昨今義務化されたカスタマー・ハラスメント対策や就活セクハラ対応、2番めは健康保険の被扶養者用件の改定などを含んでいていずれも実務担当者には重要な内容となっています。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」では今回参院選でも論点となった「外国人労働と社会保険制度」を取り上げ、その主要な問題点を解説し、今後の方向を提示しておられます。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は「労働施策総合推進法」をテーマに、その変遷の概要と政策的意義を解説しておられます。冒頭いきなり「つかみどころのない法律」と総括されていて思わず「おっ」と声が出ましたがまさにそのとおりで、私が労働法・労働政策を勉強し始めた頃の雇対法はまあ雇用政策(労働市場政策)の基本法という性格がかなり明瞭だったと思うのですが、その後徐々にウィングを広げ、名称が労推法に変わる前後からはむしろ個別的労使関係政策のあれこれが次々押し込まれていて、まさに「つかみどころ」がなくなっている感があります(なにやら「労働施策総合推進法は別名「パワハラ防止法」と呼ばれ」ていると主張する業者もあるようで)。まあそれが悪いたあ言いませんが、なんとかならんかとも思うなあ。

日本労働雑誌9月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』9月号(通巻782号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「労働研究における教育」で、日本労働研究雑誌らしい学際的なアプローチとなっています。冒頭に北條雅一先生の「教育過剰研究の現状」が置かれており、さらに(主に大学経営の観点からですが)黒田雄太先生の「大学全入時代における大学進学を考える」も配されているなど、(こう単純にいうと怒られるかもしれませんが)高学歴者の供給が労働需要に対してオーバーシュートしているという問題意識が表れています。これは企業の人事管理の観点からも重要なポイントであり興味深いものがあります。また、中村真幸先生の手になる濱口桂一郎『賃金とは何か』の書評は、まさに「歴史家による歴史書の書評」であり、たいへん面白く読みました。

野川忍『労働法第2版』

 野川忍先生から、ご著書『労働法第2版』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 2018年に刊行された初版に、それ以降の法改正や政策・労使関係の動向を反映した改訂版で、1,000ページを超える労作となっています。最低賃金における船員の問題の指摘や、2022年に北関東・東北の家電量販店で成立した労働協約の拡張適用もふまえた労働協約の一般的拘束力のていねいな検討など、野川先生らしさが随所で見られます。

日本労働研究雑誌8月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』8月号(通巻781号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「人事施策はいかに浸透するか」ということで、いろいろと興味深い内容を含んでおり、私自身も人事制度企画を担当していた当時だったら夢中になって読んだだろうなと感じます。すでに「制度を変えても意図通りの結果がもたらされるとは限らない」「制度変更にこめたメッセージが素直に伝わることはたいへん難しい」といったことを成果主義騒ぎなどを通じて痛感してしまった今となっては、また異なる感想もあるわけですが。あるいは、私もかつてミドルマネジメント時代にまさにサーバント・リーダーシップを旨としていたこともあり(成功したとはおよそ云えないが)、なにかと感慨深いものがあります。

ビジネスガイド9月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』9月号(通巻961号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号は「労務・年金・税務 改正特集」ということで、「令和7年分年末調整~改正点と実務対応~」「「130万円の壁」対策 キャリアアップ助成金(短時間労働者労働時間延長支援コース)の活用」「雇用保険新給付「教育訓練休暇給付金」と実務対応」「年金法大改正と企業実務への影響」の4テーマが解説されています。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は、「国民年金保険料の徴収問題」を取り上げ、かねてから指摘されている「免除者の増加による未納率低下」の欺瞞の指摘をきっかけに、年金目的消費税導入の利点と必要性を主張しておられます。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は、「業務関連費用の労働者負担」が取り上げられており、いろいろと考えさせられるものがあります。 

日本能率協会コンサルティング『実践カスタマーハラスメント対応ケーススタディ』

 (一社)経団連事業サービスの駒井永子さんから、経団連出版の新刊、日本能率協会コンサルティング『実践カスタマーハラスメント対応ケーススタディ』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 著者は日本能率協会の事業会社ですが、本書はこれまでのコンサルティングの実務を通じて収集した事例をもとにしたカスハラ対応の本格的なケーススタディです。カスハラについては法整備も進み、企業の対応も本格化しているところですが、現場にはまだまだ多くの苦心があるものと思われます。その指針としてたいへん有益な一冊といえそうです。

経団連事務局『2025年版日本の労働経済事情』

 (一社)経団連事業サービスの駒井永子さんから、経団連事務局『2025年版日本の労働経済事情ー人事・労務担当者が知っておきたい基礎知識』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 わが国労働法・労働政策の概要と最新動向を中心に、労働市場の概況、人事管理・労使関係の現況や留意点などを、豊富な統計や資料をまじえて簡潔かつわかりやすく整理・解説したテキストで、2014年の刊行以来毎年改訂が重ねられています。毎年次の『春季労使交渉・労使協議の手引き』とともに、人事労務担当者が座右において参照できる有益な一冊です。今後も着実な改訂を期待したいところです。