日本労働研究雑誌7月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』7月号(通巻768号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「人口減少社会における労働・社会保障問題」です。現在「異次元の少子化対策」という勇ましい政策スローガンが掲げられているわけですが、2020年(令和2)に閣議決定された「少子化社会対策大綱」では「一人でも多くの若い世代の結婚や出産の希望をかなえる『希望出生率1.8』の実現」が政策目標となっているわけで(まあ希望しない人にこどもを持てとは言えないのは当然だ)、これを達成することができたとしても人口減少は不可避なわけです(実際には人口置換水準とされる2.07を達成しても人口構成上当分は人口減少が続くらしい)。つまり人口減少を前提に政策を考えていく必要があるわけで、この特集でもそうした観点もふまえて多角的な論考が集められています。松浦司先生の「少子化対策の30年を振り返る」は、この間の少子化対策のレビュー、現実に進んだ人口動態、さまざまな政策の効果検証、今後の論点が整理されていてたいへん参考になりますし、鈴木亘先生と小島宗一郎先生の「独身者データと既婚者の振り返りデータを用いた結婚の決定要因に関する経済分析」は、大規模調査をもとにさまざまな結婚の決定要因を分析しており、まあそうだよなという(ある意味身も蓋もない)結果もあれは少し意外な結果もあってたいへん興味深いものがあります。他の論文もしっかり勉強させていただきたいと思います。