ビジネスガイド11月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』11月号(通巻894号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

ビジネスガイド 2020年 11 月号 [雑誌]

ビジネスガイド 2020年 11 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/10/10
  • メディア: 雑誌
 本号の第1特集は「コロナ禍の就業規則・社内規程」で、コロナ禍にともなって発生・拡大した従来とは異なる課題、具体的には休業手当やテレワーク(とそれに伴うパワハラや費用負担など)、副業、就業禁止、自己保健」といったものについて、就業規則や社内規程における対応を解説しています。第2特集は「部門間で業績の差が大きい企業の人事対応」というもので、部門間の人事交流や不振部門の人員整理などといった場面での法的留意点が解説されています。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保障」は前回に続いて雇用保険が取り上げられ、今回は育児休業について検討されています。日本の育休制度や育児休業給付等は国際的にも遜色ないとの前提のもと、短時間勤務では多くの場合で時間割で賃金が減額されることが取得の障害になっていることに対し、職務範囲を明確化して仕事の内容で報酬が決まる働き方を拡大することで時間割減額を縮小できる可能性を指摘しておられます。また、男性の育休取得が(拡大しているとはいえ)低水準にとどまっていることに対しては、キャリア上の不利益を避けるために育休中であっても一定の短時間勤務を認める規制緩和が必要と主張しておられます。いずれも育児とキャリアのトレードオフという働き方とキャリア形成の根本的な部分にかかわってくるだけに難しい問題といえそうです。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は今号は「強行規定」です。次号ではおそらくは今般の大阪医科薬科大・メトロコマース日本郵政最高裁判決が取り上げられると思われ、それに向けての伏線らしき記述もあります(これについてはたぶんビジネスガイド誌としての特集も組まれるでしょう)。