賃タゲ

安倍首相が経済三団体のトップを官邸に招集して賃上げを要請したとのことでまるで社会主義国のようだなあなどと思っていたところこんなニュースが。

 共産党志位和夫委員長は19日、国会内で菅義偉官房長官と会い、要望書を手渡した。表題の「賃上げと安定した雇用の拡大」という文字を見て菅氏は「賃上げは同じですね」と同調。志位氏が経済界への賃上げ要請を求めると菅氏は「機会をみて働き掛けたい」と応じた。
 すでに自民党経団連に賃上げを要請。連立を組む公明党もこの日、経団連と懇談会を開いて賃上げと雇用拡大を求めた。普段は自民党政治を批判し、公明党とも犬猿の仲にある共産党が足並みをそろえる奇妙な状況が生まれている。
 「賃上げと安定雇用はデフレ不況打開のため待ったなしの課題だ」。申し入れでこう説く志位氏に、菅氏は「安倍晋三首相に伝える」と約束。気をよくしたのか、志位氏は会談後、賃上げ率の目標を設定すべきだとしてインフレターゲット物価上昇率目標)ならぬ「賃上げターゲット」を唱えていた。
(平成25年2月20日日本経済新聞朝刊から)

まあ共産党社会主義なのは当然としてインタゲならぬ賃タゲですか(笑)。それはそれとして「賃上げは同じ」ということは「安定した雇用の拡大」は同じじゃないということでしょうか。当面の優先順位としては所得向上が先だという話なのか、雇用の流動化みたいな話を念頭においているのか、まあ共産党が考えるような「安定した雇用≒超硬直した雇用」の拡大とまでは考えてないよということかもしれません。
いずれにしてもいわゆるアベノミクスが奏功して経済が活性化すれば、企業業績の向上や労働市場の逼迫を通じておのずと賃金は上がるでしょうし、ひいては安定雇用も増えるでしょう。経済活性化なしに賃上げと安定雇用でデフレ不況が打開できるかというと、まあ共産党は計画経済だからできるという考え方なのかなあ。うまくいった例はあまり見当たらないような気はしますが、というか共産党一党独裁の中国ですら経済成長のためには開放改革が必要だったわけですし、経済が活性化したことで賃金が上がっているという実態にあるわけですが…。