自粛が失業を招く

今朝の日経から。

 東日本大震災後の客数の大幅減を受け、大手ホテルが宿泊や飲食施設などを対象に営業体制の縮小に動き始めた。プリンスホテル藤田観光は一部ホテルの宿泊業務を休止し、帝国ホテルは施設内の飲食店の営業時間短縮などに踏み切った。大手ホテルが宿泊業務を休止するのは異例。値下げも始めているが、外国人客やレジャー客の需要減による稼働率の低下は歯止めがきかず、業務絞り込みにまで踏み込んだ。

 大手ホテル各社では売上高に占める人件費比率は約3割と高い。接客サービスを重視しているためだが、客離れは雇用にも影響を及ぼし始めた。正社員の解雇には至っていないが、アルバイトや契約社員の雇用を打ち切る動きがすでに広がり始めている。
 カラカミ観光は一時休業する2ホテルで働く約100人のパート・アルバイトを解雇することを決めた。約30人の正社員はグループの別のホテルに振り向け雇用を確保する。
 藤田観光も各ホテルの稼働状況に合わせ、契約期間が満了した契約社員について雇用延長しないなどの対策をとり始めた。食事の配膳やベッドメーキングなど契約社員らが担っていた仕事の一部は正社員が肩代わりする。ホテルオークラ東京ベイ(千葉県浦安市)では当面、アルバイトを自宅待機させる。
平成23年4月28日付日本経済新聞朝刊から)

外国人客が減っているのは原発の事故のせいでしょうが、レジャー客の需要減というのは相当部分が「自粛」によるものでしょう(まあ東北新幹線が止まったりエネルギー供給の問題でTDLという巨大コンテンツがクローズしていたなどインフラ系の要因もまた大きいのでしょうが)。このところマスコミなどでも「過度な自粛は経済に悪影響、(節電しつつ)普段どおりの生活をしよう」という論調が主流になってきたようですが、実際このように雇用にも悪影響を及ぼすわけで。
しかしこの記事、非正社員の雇い止めが正社員の雇用維持のために必要であること、正社員は多能工・高技能であってそれゆえに雇用が維持され、また維持できるということなど、わが国の雇用慣行がにじみ出たものになっていますね。