妻の不機嫌

たまにはタブロイド雑誌ネタというのもよろしいのではないかと(笑)。労働者のお友達「日刊ゲンダイ」から。

 経営陣は「残業するな」と口うるさい。書店にも「残業ゼロ」をうたった本が山積みだ。「過労死防止」「家族団欒(だんらん)」なんてきれいごとを並べているが、この“残業ゼロブーム”のウラには、外資コンサルタント会社の思惑も絡んでいる。付き合わされるサラリーマンはいい迷惑だ。
 Aさん(34)が勤める都内の中堅商社では、社長の号令のもと、今年から残業は月40時間までに制限された。毎週水曜日の「ノー残業デー」は、夜8時で消灯されるという。
 「上は『仕事と家庭を両立させるため』だの『効率アップ』だのと、もっともらしいことを言いますが、ただでさえ少ない給料から残業代がカットされ、月収は5万円以上減りました」
 仕事の合間に同僚と軽口を叩いている余裕もない。職場の雰囲気は殺伐としてきている。持ち帰りの仕事も増える一方だ。
 「家族団欒どころじゃないし、いいことはひとつもない。もうヘトヘトですよ」とAさんはこぼす。給料は減るわ、家庭に仕事を持ち込むわでは、妻も不機嫌になる。それで仕事と家庭を両立できるわけがない。
…WLBとか残業ゼロは最近、コンサル会社、それも外資系の格好の“メシの種”になっているらしい。
 「経営者にすり寄り、『御社もWLBで労働生産性を上げましょう』『残業ゼロは時代の流れ』なんてプロジェクトを持ちかけるコンサル会社が続出です。成果主義ブームが一服したので、本を書いたりセミナーを打って、次のブームを仕掛けているだけなのです」
 詰まるところ、人件費を減らしたい経営者と、“米びつ”を確保したいコンサル会社の利害が一致しただけ。付き合わされる中間管理職以下は、たまったものじゃない。
(平成20年5月7日付日刊ゲンダイから)

うーん、この手のメディアだけに、勤労者の一面の本音が率直に示されているというところなのでしょうか。ワーク・ライフ・バランスもまずはカネあってのこと。残業はなくなったけどカネも減りました、ということで、それで仮に持ち帰りがなくなったとしても、はたして「妻の不機嫌」は解消されるのかどうか。いや、これって相当大切な論点だと思うんですけどね。