長寿化とアダプタビリティ

きのうまで新潟市で開催されていた「労働サミット」の「議長総括のポイント」が厚生労働省のホームページに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kokusaigyomu/g8_kekka/soukatsu.html
全文はこちら
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kokusaigyomu/g8_kekka/soukatsu_english.html
新聞報道などでは洞爺湖サミットとの関連もあって環境と労働に関するテーマがもっぱら注目されていますが、これは3つの「副議題」のひとつで、残りの2つは「長寿化」と「グローバル化」です。この手の国際会議だと自然とそうなるのかもしれませんが、それにしても先進8カ国の抱える課題というのは共通する部分が大きいということにあらためて気づかされます。
で、「長寿化」についてはこうなっています。

(2)副議題1
 長寿化が進展する中、労働者一人ひとりが充実した人生を可能にし、持てる可能性を発揮することができるよう、以下の雇用・労働市場政策に取り組む。
(1)仕事と生活の調和
 柔軟性と労働市場の安定性を組み合わせた手法により、人生の各ステージに合った雇用形態と働き方の多様性を促進するとともに、ライフサイクルを通じた転職可能性、ファミリー・フレンドリー政策などを推進すること、
(2)労働者の安全衛生と退職後の生活の安定
 労働安全衛生関係法令の遵守を確保するとともに、業務関連ストレスに係る認識を高めることとそれにより退職後の健康な生活を確保すること、
(3)生涯キャリア形成
 キャリアコンサルティングの機会やキャリア形成等を通じ、生涯にわたるエンプロイアビリティを高めること。

長寿化の中で充実した人生を送るには仕事一筋じゃダメですよ、ワークライフバランスですよ、ということでしょうか。それが生涯キャリア形成だと。
で、日本語要約は「生涯にわたるエンプロイアビリティを高めること」となっているのですが、ここは原文は"facilitate effective life-long employability and adaptability"となっています。要約では切り捨てられていますが、私は"employability"よりも"adaptability"のほうがむしろ重要なのではないかと思っています。職種転換といった典型的なアダプタビリティはもちろん、たとえば広域移動であるとか、あるいは意識転換(「仕事ばかりが人生じゃないよ」とか「老いては子に従え」とか)までも含めて、幅広なアダプタビリティを持つ人が幸福な人生を送るのではないかと思うからです。なにかに「こだわる」ことは大切なときもあるでしょうが、多くの場合は「こだわりすぎ」になって損を招くのではないでしょうか。