経団連が外国人労働者に関して提言を発表

経団連外国人労働者受け入れについての提言をまとめたそうです。この問題に関しては、経団連は2004年にかなりまとまった提言を出しています。今回の提言は経団連のホームページにはまだ掲載されていませんが、報道を見るかぎりでは大きな変更はなく、昨今の情勢をふまえてあらためてより具体的に要望しなおした、という感じのようです。もっとも、「技能者の人手不足」対策については少し踏み込んでいるようです。

 日本経団連外国人労働者の受け入れ拡大を求める提言をまとめた。企業の国際競争力を高める観点から、エンジニアなど高い専門知識や技術を持つ外国の人材の在留資格要件を緩和するよう政府に要請する。企業側の法令順守体制や自治体による生活支援も強化し、外国人の円滑な受け入れを目指す。
労働力人口の減少に伴い、製造業や建設業の技能者の人手不足が見込まれる。提言では技能者に関して「日本語能力など一定の要件を満たす人に限って受け入れる方向で検討すべきだ」と指摘。外国人の過度な流入を防ぐ体制づくりもあわせて検討すべきだと強調した。具体的には国内労働市場でどの程度人手が足りないか検証する「労働需給テスト」の導入や、送り出し国との経済連携協定の締結を挙げた。
 外国人の在留管理を徹底したり住民サービスを提供したりするため、外国人登録制度と住民基本台帳を連携した「外国人住民基本台帳制度」の整備も提言。「国、地方自治体、民間企業が資金を拠出し、住宅確保や子弟教育など生活を支援する枠組みも必要だ」と指摘している。
(平成19年3月16日付日本経済新聞朝刊から)

これを読むかぎり、「製造業や建設業の技能者」について「日本語能力など一定の要件」を条件に受け入れる、と読めます。
まあ、「日本語能力」は相当高いハードルでしょうし、逆に日本語が十分使える人であれば、コミュニケーション・ギャップがかなり改善し、社会的にも受け入れやすいと言えるかもしれません。「外国人の過度な流入を防ぐ体制づくり」にも言及しており、案外現実的な路線なのでしょうか。
また、雇用対策法の改正で外国人雇用状況報告が義務化される方向ですが、経団連はさらに踏み込んで「国、地方自治体、民間企業が資金を拠出」と、外国人雇用税のような財源負担にも理解を示しています。まあ、現実問題として世間の抵抗がかなり強い中では、やはり企業としても一定の負担を行わなければ社会的な理解は得られないということでしょうか。外国人雇用に対してのみペナルティを与えるというのは内外人平等の観点から疑問もあるとは思うのですが…。
いずれにしても、すでに日系人をはじめとして多数の外国人が国内で就労している事実が現にあり、今後も貿易自由化の流れの中で外国人労働受け入れは拡大の方向性でしょうから、そろそろ政治などの場面でもきちんとした議論が必要になってくるのではないかと思います。