第2セッション「成果主義をどう見直すか」

中村報告

まずは「成果主義の真実」の中村圭介東京大学社会科学研究所教授の報告ですが、その内容は同書をご紹介したhttp://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060822や、やはり同氏の著書のご紹介http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20051028をご参照ください。中村氏はしきりに「思い切った、大胆な意見」と強調しておられましたが、私たち実務家からすれば別に思い切っても大胆でもない、いたって実感にあうお話でした(コメンテータの今野学習院大教授もそのようなことを言っておられました)。

松繁報告

次は「人事の経済分析」(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20051027)の松繁寿和大阪大学大学院国際公共政策研究科教授の報告で、要するにいくら人事制度をいじってみたところで、それが従業員に周知されていなければ意味がない、そして、実際に調べてみると、従業員の多数は人事制度の細部(というほど細部でもない)をあまり知らないし、全体の賃金水準についてもかなり不正確な認識しかもっていない、というものでした。
これまた実感によくあう結果で、たぶん人事制度についてこの調査のようなことを聞かれたら、私もこの程度しか答えられないかも。人事制度というのは制度の内容もさることながら、その趣旨、ポリシーが大事なわけで、そのメッセージさえ伝わっていれば問題ないともいえます。それから、多くの従業員が同一年齢の同僚や同一職能資格の同僚について、現実より高いと認識しているというのも納得のいく話で、要するにこれは「自分の評価は高くない、同僚はおそらくもっともらっているに違いない」という心理の表れだろうと思えば理解できます(実際、「部長」相当の資格となると、人数も少なく、さすがに自分の評価はそこそこ高いと思っているようで、こうした傾向はあまりみられません)。しっかし、みーんなそんな調子で思っているところに、成果主義を導入したってうまくいくわけはないわな(笑)