公務員の労働基本権に関する経団連の報告書

今朝の日経新聞に出ていました。

 日本経団連が昨年12月に公務員の労働基本権について「制約を課す必要がある」との報告書をまとめていたことが20日、分かった。公務員制度改革に絡み、政府・与党内に制約解除に前向きな声が出ているが、経済界の根強い抵抗感が浮き彫りになり、今後の議論に影響を与えそうだ。
 公務員の職務の公共性を考慮し、政府は争議権(スト権)などを制限している。報告書は「市場機能が作用する余地がない中での争議行為は一方的かつ強力な圧力になる」と指摘した。
 昨年4月に公務員制度改革に関する報告書を作成した際は「基本権の見直しは是非を含め抜本的かつ早急に検討する必要がある」としていた。行き過ぎとの声があり、トーンダウンさせた。官のリストラに前向きだが、民業圧迫は懸念する経済界の微妙な立場を反映したといえそうだ。
 経団連は新見解について「現状のままだから積極的に言う必要もない」と判断。内部資料にとどめ、公表しない方針だ。
(平成18年2月21日付日本経済新聞朝刊から)

うーん。公表しない方針とのことですが、見てみたいものです。


それはそれとして、記事中の「民業圧迫は懸念する」の意味が今一つわかりません。報告書を読めばわかることなのかもしれませんが、経団連はもともと民営化すべきは民営化すべきとの立場であり、さすがに民営化後まで労働基本権を制約せよとは言っていない(のだろうと思うのですが)でしょう。「市場機能が作用する余地がない中での」とも言っているようですし、ここで念頭におかれている「公務員」は民間ではできないもののことなのではないでしょうか。だとしたら民業圧迫になることもないと思うのですが。そうした分野を市場化テストで民間開放する場合は、官業を官がやるにせよ民がやるにせよ労働基本権は同様に制約されることが筋でしょうから、こちらも民業圧迫とはいえないはずですし。
いっぽうで、なんとなくそうかな、という感じもしないではないので、やはり報告書を読んで見なければなんともいえないところではあります。ケチケチせずに(笑)ホームページで公開してもらえないものでしょうか。