池添弘邦・小倉一哉・高見具広・藤本隆史『働き方改革、働き過ぎの、「今」』

 (独)労働政策研究・研修機構様から、池添弘邦・小倉一哉・高見具広・藤本隆史『働き方改革、働き過ぎの、「今」ー課題解消の手掛かりを求めて』JILPT第4期プロジェクト研究シリーズNo.7をお送りいただきました。共著者のどなたかにご配慮たまわったものと思います。ありがとうございます。
www.jil.go.jp
 ざっくり分けて前半部分は働き方改革の影響、後半部分は健康被害・労災関連の分析にあてられています。後半部分に関しては、池添・高見・藤本各先生は共同で労働安全衛生総合研究所が保有する労災認定に係る調査復命書等の情報に基づくデータセットの数千件におよぶ個別事例を分析するというきわめて勤勉な調査を続けておられ、すでにJILPTの資料シリーズとして4冊とりまとめられていますので、そのエッセンスという内容でしょうか。勉強させていただきたいと思います。

日本労働研究雑誌5月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』5月号(通巻754号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「DXが職場や仕事にもたらすもの」で、ICT技術の進展にともなう業務の自動化や、新型コロナ禍でのテレワークの拡大などを背景に、その労働への影響や人材育成の課題などが集められています。私も技術進歩を十分キャッチアップできているかというとかなり危ういわけですが、ソフトウェア技術者の技能形成には「やはりOJTが重要」といった知見をみるとなんとなく安心するものもあります。「論文Today」では各国の昔話が現代社会の価値観にどう影響したかを調査した論文が紹介されていて非常に関心をそそられます。
Folklore by Stelios Michalopoulos, Melanie Meng Xue :: SSRN
↑これですね。$8.8課金してダウンロードしました。さっそく読んでみよう。

岡芹健夫『取締役の教科書第2版』

 (一社)経団連事業サービスの大下正さんから、経団連出版の最新刊、岡芹健夫『取締役の教科書第2版』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 2013年に刊行された書籍の第2版で、この10年間の法改正を反映した改訂版となっています。「取締役の地位と職責、権限、会社および第三者に対する責任、損害賠償以外の責任など、企業トップに求められる義務と、その裏返しである責任(リスク)について、できるだけ具体的かつ平易に説明」という執筆方針は第1版から変更ないものの、第1版の167ページから今回207ページと内容も大幅に強化されており、取締役の企業統治に対する関心や注目の高さが反映されているように思います。

鶴光太郎『日本の会社のための人事の経済学』

 鶴光太郎先生から、最近著『日本の会社のための人事の経済学』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 オビの惹句に「指針なき改革論議を一刀両断』とあるように、改革論議の指針となるべく書かれた本と思われます。最初の3分の1くらいは昨今のいわゆる「ジョブ型」論議の誤解と混乱の解消と論点整理にあてられ、続く3分の1くらいで情報化が進展する中での(本来の意味での)ジョブ型雇用の重要性が経済学の観点を中心に主張され、残り3分の1は昨今の新たな動向を踏まえた上で今後の方向性を提示するといった構成になっています。これについては5月9日までに精読しなければならない事情があるので(謎)、連休の最優先課題として取り組みたいと思います。

梅崎修・南雲智映・島西智輝『日本型雇用システムをつくる1945-1995』

 梅崎修先生から、南雲智映先生・島西智輝先生とのご共著『日本型雇用システムをつくる1945-1995ーオーラルヒストリーによる接近』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 副題のとおり、オーラルヒストリーを史料として、1945年から1995年にかけての日本型雇用システムの形成と変容を、労使関係、人事管理、一部労働政策などの側面から記述した歴史研究書です。巻末に資料としたオーラルヒストリー調査のリストが掲載されており、労働運動家が多いのですが労担や政策担当者などの調査もあり、伝説のオルグ・伝説の労担の名前も見えます。長期にわたり膨大な調査に取り組まれたその勤勉さには感服するよりなく、楽しみに読み進めさせていただきたいと思います。

西村純・池田心豪・田上皓大『雇用流動化と日本経済』

 池田心豪先生から、西村純先生・田上皓大先生とのご共著『雇用流動化と日本経済ーホワイトカラーの採用と転職』JILPT第4期プロジェクト研究シリーズ6をご恵投いただきました。ありがとうございます。
www.jil.go.jp
 いわゆる「失われた30年」におけるホワイトカラーの労働市場・人事管理の変化を、多くの企業事例を通じて描き出した本ということになりそうです。ビジネススクールの授業で使えそうな内容も多そうで、大いに活用させていただきたいと思います。

堀有喜衣・岩脇千裕・小杉礼子・久保京子・小黒恵・柳煌碩『日本社会の変容と若者のキャリア形成』

 (独)労働政策研究・研修機構様から、堀有喜衣・岩脇千裕・小杉礼子・久保京子・小黒恵・柳煌碩『日本社会の変容と若者のキャリア形成』JILPT第4期プロジェクト研究シリーズ5をお送りいただきました。おそらくは共著者のどなたかのご配慮かと思います。ありがとうございます。

 1990年代後半以降の脱工業化、就職氷河期といった環境変化の中で若年労働がどのように変化していったのか、JILPTの豊富な調査をもとに多面的に分析されています。最終章では柳煌碩先生が韓国の実情と政策対応を紹介されていて非常に興味深いものがあります。