池田心豪『介護離職の構造』

 池田心豪先生から、ご著書『介護離職の構造ー育児・介護休業法と両立支援ニーズ』JILPT第4期プロジェクト研究シリーズ4をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 介護と労働をめぐる多様な諸相・諸課題が幅広くかつ深く分析されています。最後はJILPTらしく政策インプリケーションにあてられ、多様性に対応した両立支援が訴えられています。勉強させていただきたいと思います。

濱口桂一郎『労働市場仲介ビジネスの法政策』

 濱口桂一郎先生から、先生ご執筆のJILPT労働政策レポート14『労働市場仲介ビジネスの法政策ー職業紹介法・職業安定法の一世紀』をお送りいただきました。ありがとうございます。JILPTは紙の報告書はやめて全面的にPDFに移行したのかと思っていたのですがそうでもないのですね。
www.jil.go.jp
 戦前の職業紹介法からこんにちに至るまでの仲介ビジネスをめぐる職安行政史というところでしょうか。先生の大著『日本の労働法政策』でもかなりの紙幅をとっている分野ですが、それを法令等の紹介もふんだんに交えてさらに詳細に展開しておられます。まだパラパラと拾い読みしただけですが、戦前の実態は知らないことも非常に多く、また終戦直後からの戦前・戦中の旧弊を改める取り組みのすさまじさも感じられてたいへん興味深いものがあります。

日本労働研究雑誌4月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』4月号(通巻753号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 毎年4月号はコンパクトな解説が多数集められた特集が組まれていますが、今年は「現在の労働問題を考える上で改めて読んでおきたい文献」で、各分野から26冊をそれぞれの専門家が紹介しています。2016年4月号に「労働研究のターニング・ポイントとなった本・論文」という特集がありましたが、それ以来の文献紹介特集ということになりそうです。
 でまあ2016年の時も同様だったのですが、今回も既読は26冊中9冊と二桁に届かず、存在すら知らなかった本も何冊かあり、自分の不勉強ぶりを改めて痛感しました。

季刊産政研フォーラム春号

 (公財)中部産業・労働政策研究会(中部産政研)様から、機関誌『産政研フォーラム』2023春号(通巻137号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。
www.sanseiken.or.jp
 今回の特集は前号に続いて「リモート時代の人材育成のあり方2」で、学習院大学の守島基博先生がインタビューに登場され、リモート時代や人材育成にとどまらず、日本的雇用慣行の見直しや人的資本経営のあり方などについて幅広く語っておられます。このインタビューもリモートだったのかなあなどと思いながら読んでいたら最後に(’学習院大学にて)と記載されていたのでどうやら対面だったようです。本誌の呼び物、大竹文雄先生の連載「社会を見る眼」は「ボトルネックを見つける」と題して、先生の最近のお仕事、風しんワクチン未接種者に対する抗体検査促進策が紹介されています。

ビジネスガイド5月号

 (株)日本法令様から、『ビジネスガイド』5月号(通巻933号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は例年に従って「令和4年度重要労働裁判例」で、山形大学事件の最高裁判決をはじめ、下級審では兼業による長時間労働に対する各社の安全配慮義務を扱った大器キャリアキャスティングほか事件、シフト制労働者がシフトを入れない場合の解雇の有効性をめぐるリバーサイド事件、業務委託契約者へのセクハラ・パワハラに対する法的責任を(行為者のみならず)会社にも認めたアムール事件、転勤拒否者に対する勤務地限定社員との賃金差額の返還を認めたビジネスパートナー事件と、今日的な裁判例が紹介されています。セクハラの事件がアムール事件というのは趣味の悪いダジャレみたいですね。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は今回は「在職老齢年金は保険か福祉か」と題して、この複雑な制度を背景から解き明かし、その課題と方向性を指摘しておられます。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は近年拡大している「デジタル労働プラットフォーム」を取り上げ、その法規制の現状と課題、EUの動向などを紹介しておられます。その他、「新型コロナの5類引下げに係る企業への影響」という記事もあり、タイムリーなものではありますが何かと感慨深いものがあります。

高崎美佐『就活からの学習』

お茶の水女子大の高崎美佐先生から、ご著書『就活からの学習-大学生のキャリア探索と初期キャリア形成の実証研究』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

就職氷河期以降、若年非正規や若年無業が社会問題となり、今世紀のはじめ以降、就職活動の成否がその後の人生を大きく左右するという問題意識が広がりました。それからすでに20年以上が経過する中で、就活の成否がどれほどその後のキャリアの成否につながっているのか、という観点から、現状の確認と実証的な検証に取り組んだ本ということのようです。就活の成否がキャリアのすべてではないというポジティブな展望が示されたとのことで、楽しみに勉強させていただきたいと思います。

河本毅『判例から探る不利益変更の留意点[第2版]』

(一社)経団連事業サービスの大下正さんから、経団連出版の新刊、河本毅弁護士法人番町総合法律事務所『判例から探る不利益変更の留意点[第2版]』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

労働条件の不利益変更をめぐる法的留意点が、Q&A形式できわめて詳細にまとめられた一冊です。もちろん不利益変更はしないに越したことはないわけですが、やむを得ず実施せざるを得ないという場面にあっては頼りになる本といえましょう。2014年に刊行された第1版の改訂版ということで、この間の法改正や裁判例などをカバーし、ページ
数も大幅に増えています。今回は勤務先事務所との共著になっているのは同僚の助力があったということでしょうか。