濱口桂一郎『新・EUの労働法政策』

 濱口桂一郎先生から、ご著書『新・EUの労働法政策』をご恵投いただきました。ありがとうございます。
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/images/eu-labour-law2022.png
https://www.jil.go.jp/publication/ippan/eu-labour-law.html
(まだamazonでの注文はできないもよう)

 2017年の『濱口桂一郎『EUの労働法政策』 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)』の5年ぶりの全面改訂版とのことですが、前回作が521ページのペーパーバックだったのに対し、今回作は892ページという堂々たるハードカバーであり、この5年間の動向のほかにも大幅な増補が施されています。この分野における第一人者たる濱口先生が心血を注がれた、まさに面目躍如たる記念碑的な著書と申せましょう。ただただ圧倒されるのみ、です。 

日本労働研究雑誌5月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』5月号(通巻742号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「教育機関における職業能力の形成」というもので、本田由紀先生が巻頭の提言を寄せておられます。まあご所論はたいへんにごもっともで私も同感するところが多いのですが、どうしても需給のミスマッチというのはあるわけで、需要側が供給にあわせるのも限界はあるよねえとは感じたところ。もちろんこれから若年層は減少していくわけですから需要サイドの努力はますます求められるわけで、人材投資もしっかりやっていかなければならないわけですが。
 あと昨年の「今年の10冊 - 労務屋ブログ(旧「吐息の日々」)」でご紹介した佐々木勝『経済学者が語るスポーツの力』の読書ノートを小林至先生が書いておられるのも目をひきましたが、もう少し言いたいことを言っていただいてもと、思わなくもない(笑)。JIL雑誌ということで自己規制が働いたかな?

ビジネスガイド6月号

 (’株)日本法令様から、『ビジネスガイド』6月号(通巻919号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 今号の特集は「雇用保険法等の改正と企業実務」と「令和3年度重要労働裁判例」の2本です。後者は昨年同様に千葉大の皆川宏之先生が昨年度の主要裁判例を実務の観点から解説しておられ、中には大内先生の連載ですでに取り上げられたものもあります。
 八代尚宏先生の連載「経済学で考える人事労務社会保険」は今回は育児休業給付制度の見直しが取り上げられ、現状の問題点と解決策の方向性が示されています。幼児教育の重要性が指摘されている中で、保育サービスの現物給付の拡充が必要との所論は重要と思われます。大内伸哉先生のロングラン連載「キーワードからみた労働法」は定年後再雇用時の労働条件が取り上げられています。

水町勇一郎『労働法第9版』

 社研の水町勇一郎先生から、『労働法第9版』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 学部向けのテキストとして定評ある本書、第3版以降はきっちり2年間隔で改訂され、はやくも第9版となっています。第8版以降の法改正や新判例などを織り込んだほか、「フードデリバリーサービスのプラットフォーム出前イーツ社の登録配達員」の労働者性とか、ペーパーレス化・テレワーク化に対応した業務ソフトに対応できないベテラン社員の解雇とか、今日的な事例が追加されているのが目をひきます。あと、なぜか多くの事例の社名や人名が変更になっており、へえ水町先生はラヴィット!とか見てるんだなあとかニヤニヤしてしまうところもあります(笑)。

上野友子・武石恵美子『女性自衛官』

 武石恵美子先生から、上野友子さんとのご共著『女性自衛官-キャリア、自分らしさと任務遂行』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

 上野さんは防衛省の職員で(自衛官ではないらしい)、修士論文をもとに指導教員の武石先生とともに出版された本とのことです。多数の聞き取り調査をもとに女性自衛官のキャリアがさまざまな側面から描かれています。世間的には自衛官の中では女性はかなりのマイノリティと受け止められているのではないかと思うのですが、すでにこれだけまとまった調査ができるまでに増えてきており、キャリア研究の新たなフロンティアの一つとしても注目される本だと思います。

須田敏子・森田充『持続的成長をもたらす戦略人事』

 (一社)経団連事業サービスの藤原清明さんから、経団連出版の最新書、須田敏子・森田充『持続的成長をもたらす戦略人事-人的資本の構築とサステナビリティ経営の実現』をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 オビには「英米のデータをもとに日本の賃金停滞問題解決の切り札ジョブ型・マーケット型人事の実態を紹介!」と大書されており、内容的にも英米の現状についての情報はふんだんに含まれていて有益と思われます。日本へのインプリケーションも記載されているのですが、ざっと斜めに見た限りでは仕事とカネの話がほとんどで、キャリアに関する記載がないのは少々物足りない感があるかなあ。

日本労働研究雑誌2・3月号

 (独)労働政策研究・研修機構様から、『日本労働研究雑誌』2・3月合併号(通巻740号)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

 合併号は毎年恒例の学会展望で、今年は「労働調査研究の現在」ということで過去3年間の主要業績を通じて展望されています。不勉強な私は読んでいないものの方が多いので、主要業績の概況を知ることができるという点でも勉強になります。巻頭の「提言」には八幡成美先生の懐かしいお名前が見え、「本をネット通販と本屋の店頭で購入する際の違いは、目的の本を購入するだけなら前者が便利だが、知らなかった本に出会う機会は後者のほうがはるかに優位にある。つまり、生きた人間の活動を調査していることを忘れてはならない」と述べられています。私は学術調査をする人ではありませんが、しかし仕事全般に通じることではないかと思います。