課題はグローバル人材育成

丸尾先生のコラムからの連想で取り上げますが、日経ビジネスオンラインの「野々村人事部長3 人事部長が集まる会議室」という記事からのネタです。作者は「野々村人事部長、永禮弘之、瀬川明秀」となっていますが、この「野々村人事部長」という人は「中堅の流通チェーン・マルコーの人事部長」さんだそうです。年齢は48歳ということで、おや私も今年48歳だなぁ。で、この記事はこの野々村人事部長さんはじめ人事部長が集まる会議室、つまり座談会ということなんですが、実は人事部長は野々村さんのほかもう一人だけで、あとはコンサルさんと人材ビジネスさんが参加されています。

国際物流さん 関心事は、グローバル人材ですね。興味があるというより危機感を持っています。自分の中ではグローバル人材育成は2つのタイプに分類していまして、1つはコマツ型。現地法人、現地の人たちをいかにマネジメントしていくかというタイプですね。もう1つはGE型。多国籍軍の中で、日本人がどうリーダーとして出ていくかということです。私の関心はここに近いです。日本人のCEOは他国になかなかいないですよね。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20100125/212409/、以下同じ

この人は本物の人事部長さんだそうで、「大学院にて組織開発を研究し」「前職の外資系保険会社」という人らしいので、コンサル受けのしそうな感じの人ですね(もちろんそれがいいとか悪いとかいうことではない)。多国籍軍なら別にリーダーの国籍を問う必要はないように思いますが、まあこれは他社の人事がダメだということを言いたいのでしょう。

 それともう1つは、どうやって自律型人材の多い自律型組織を作っていくかということです。ラーニングオーガニゼーションなども関心を集めていますが、自分の頭で考えて自分で動く、ということができるようになるか、そのためにどう仕掛けていけるかが関心事です。人材開発というより組織開発に近いかもしれません。そういった仕掛けを、予算も削られる中でどう実現していくかが課題ですね。

うーん、まあ、そうなんでしょうかね。自分の頭で考えて自分で動く人材がたくさんいれば楽そうに思えるかもしれませんが、でも本当にみんなが自分の頭で考えて自分で動きはじめたら大変なことになりますぜ。思うに、マネージャーの相当割合は、「自分の頭で考えて自分で動」いた人のおかげでその後始末でひどいめにあわされた経験があるんじゃないかと思うんですが…orz

人材ビジネスさん 日本の経済がこれから元気になるために、人事が活躍しなければいけないということを感じています。やはりその中でグローバル人事が大事ですね。
 グローバル人材の前に、人事のグローバル化をどうにかしなきゃいけません。つまり本社コーポレート機能のグローバル化です。企業の人事がうまくいけば、ダイバーシティや文化等の問題も、ある面、形が作られていく筈なのですが、現在は過去の流れでやってしまっています。過去の人事は労務屋ですね。労務屋は現状維持のための問題解決が役割上求められます。そうではなく、変えるための問題解決が必要です。

ふむ、「過去の人事は労務屋ですね。労務屋は現状維持のための問題解決が役割上求められます」ですかそうですか。まあ、違うとは申しません…もっとも、その「現状維持」ってのがとても大変なんですけどね(「現状維持」というのは当然「従来の成長トレンドを維持する」ということですので為念)。実際、成果主義にしても、さまざまな組織改革にしても、それをやらなければ現状維持すら難しい、ということでやってきたわけでして。その過程でコンサルさんや人材ビジネスさんはガッツリと稼がれたのではないかと思うのですが如何。で、その結果、たしかにそれは「変えるための問題解決」だったかもしれないけれど、悪いほうに転がり落ちてしまって、まあそれでも変えるためには違いないよねってのがけっこうまかり通っていたのだな今から思えば。
ま、労務屋としては丸尾先生の言われるように「「サイレント・マジョリティー」が安心して働けるようにすること」に注力することにしますかね。