守島基博・大内伸哉『人事と法の対話』

守島基博・大内伸哉両先生から、ご共著『人事と法の対話−新たな融合を目指して』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

人事と法の対話 -- 新たな融合を目指して

人事と法の対話 -- 新たな融合を目指して

書名のとおり、人事管理論と労働法学の第一人者による対話で構成された本ですが、随所に企業の実務家をまじえた鼎談が織り込まれ、さらにその鼎談が著者二人の対談でフォローされるという入念な作りになっています。
テーマ設定も適切で、人事管理の実情と課題に対して労働法や労働政策がどうなっているのか、その論点がわかりやすく提示されていて、私は非常に面白く読みました。ただ、これは労働法学者が大内先生だからうまくいったのではないかと思います(もっとも大内先生は他のご著書に較べると先生ご自身の所論より労働法一般に近い立場をとっておられる場面も多いのですが)。もちろん人によりけりであって一般化すべきものではありませんし多分に私の偏見でもありますが、しかし日本労働法学会に出てこられる先生方の中でこの本がうまく成り立ちそうな人というのは、どうでしょうかね、何人いらっしゃるでしょう。企業がこんなんだから規制強化が必要なんだという話になってしまう先生も多かろうと。

梅崎修『チームを変えるリーダーの掟』

梅崎修先生から、ご著書『チームを変えるリーダーの掟』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

GIANT KILLING チームを変えるリーダーの掟

GIANT KILLING チームを変えるリーダーの掟

梅崎先生といえば経済学のほかに「マンガ」という連想も働くわけですが、この本はこれまでのマンガ関連本(http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20110608#p1http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20060804)とは異なり、『ジャイアント・キリング』という一作品に集中して、その中からリーダー論を抽出した本です。内容は…読み進めるにつけわが身の至らなさを思い知らされて、まあ自分なりにがんばりましょうかという感じの本です。
ということで特徴的な本ではあるのですが、しかしこの本が世にあまたあるリーダーシップ啓蒙書と異なる価値を主張するとしたらまさに著者が梅崎修であるという一点になるのではないかと思うわけです。記述の背後には人事管理の実証分析にもとづく豊富な知見があるからこそ類書にない説得力を持つのだろうと思うのですが、いっぽうでこれは私が梅崎先生の力量やお人柄を承知しているからでもあるわけで、まあこの手の本でそういうのも野暮かもしれませんが、しかし多少はアカデミックな根拠にも触れてよかったのではないかと思います。まったく出てきませんので(最後に学術書の文献リストはありますが)あえて出さなかったのだろうとは思うのですが。

中澤二朗『働く。なぜ?』

私が尊敬してやまない新日鉄ソリューションズの中澤二朗さんから、ご著書『働く。なぜ?』をご恵投いただきました。ありがとうございます。

働く。なぜ? (講談社現代新書)

働く。なぜ? (講談社現代新書)

前著同様、長期雇用・長期育成に対する堅固な信念に立って書かれた本ですので、立場や意見が異なればまたいろいろな読み方や見解があるのでしょうが、私は今回もまた圧倒される思いでした。中澤さんをはじめとする先輩方は本当にすごい人たちであり、また、新日鉄は本当にすごい会社だと思い知らされる本です。