CIETTリージョナルワークショップ

国際人材派遣事業団体連合(CIETT)のリージョナルワークショップが日本で開催されるとのことで、もう仕事上は関係ないのですが知り合いが多数出ていてお誘いいただいたので聴講してまいりました。運営は人材派遣協会で、実働部隊はランスタッドジャパンのようでしたね。大きな会場が満員の大盛況でまずはご同慶です。
http://www.jassa.jp/ciett/ws/
当日のもようはパネルに出講されたhamachan先生もブログで紹介されていますが、まあこのメンバーでやればこういう展開になるだろうなという内容で、論点や課題、対応策の整理という意味ではたいへん有益だったのではないかと思います。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/ciett-1ce8.html
ということで細かい議論は抜きで雑駁な感想を今さらながら書きますと、派遣業や派遣労働の規制に関する議論についてはたしかに派遣労働特有の問題もあろうとは思いますが多分にそれ以前の問題ではないかと思いました。要するにこんな国際ワークショップに参加して理論武装するような派遣会社は労務管理もきちんとしているだろうと思われるわけで、もちろん労務管理がしっかりした派遣会社がいい派遣会社だということで市場競争に勝ち残り、結果として問題もなくなるというのは理想論ではありますが現実にはなかなかそうもいかないでしょうし問題がある以上は救済も必要なわけで、一定の規制が行われることは致し方ないと思います。ただ問題の大半は労働基準法労働安全衛生法に違反するものでしょうから、基本的には取締の問題であり、体制増強も含めた取締の強化がまず必要だろうと思います(取締の効率化に資するような派遣先責任強化などもあっていいと思います)。いっぽうで体制増強するとしても取締のリソーセスは限られているので一定の参入規制も致し方ないとは思います。最低資本金とか適正人員配置(急速に拡大しようとするとここで破綻してくる)とかの規制はある程度強化してもいいのかもしれません。労働組合の組織率が低い低いというわけですが人材協の組織率は事業者ベースではもっと低い(推測なので間違いであればご指摘ください。売上高などで見ればそうでもないという話もありそうですし)わけで、取締と参入規制と自然淘汰でインチキな業者が排除されて結果として人材協の組織率が高くなれば、派遣の就労環境や労務管理もずいぶん改善するのではないかと思います。
もう一点、労使双方のパネリストから「派遣業界は自らの将来ビジョンを真剣に確立すべきだ」(大意)といった発言があり余計なお世話だなあと思いながら聞いていたのですが、しかしビジョンを確立しろといわれてもできるような環境にないよねえと深く同情もしました。いやたとえばある日突然「専門26業種等派遣適正化プラン」なるものが打ち出されて従来の行政解釈が大幅に変更され、それにより派遣労働者・派遣元・派遣先の3者のいずれも満足していた派遣契約の終了が余儀なくされたり、業法を改正すると言って法案を作成し国会に上程した後にこれでは手ぬるいということでやり直せという話になり、やり直したところ国会で延々とたなざらしになったあげくやっぱり元の法案に近いところに修正してようやく通りそうだけどこの間何年かかってんだという事態であったりするわけで、先行きがまったく見通せない中でビジョンの確立もあったものではないでしょうと思うわけです。
ということで終了後のレセプションにもお招きにあずかり、さらに会場近くの呑み屋に繰り出すことと相なってこの日もブログを書くという展開にはならず、今さら書いているのでありました。