大内伸哉・川口大司『法と経済で読みとく雇用の世界』

大内伸哉川口大司両先生から、ご著書『法と経済で読みとく雇用の世界−働くことの不安と楽しみ』をご恵投いただきました。ありがとうございます。大内先生はどうしてこんなにたくさん本を書けるのだろう。

法と経済で読みとく雇用の世界 -- 働くことの不安と楽しみ

法と経済で読みとく雇用の世界 -- 働くことの不安と楽しみ

仕事のさまざまな場面を描いた実話風ストーリーでリードしていくというのは大内先生お得意の展開ですが、今回はさらに進化して登場人物相互の人間模様も絡めて一編の小説風に仕立てられています。本論のほうはそれぞれの場面について日本の人事管理・労働市場の現状と法制度がどうなっているかが解説され、経済学的な観点からそれを評価するというのが大まかな流れになっています。2000年代前半に本格化し、後半に活発化した労働分野における法学と経済学の対話の、専門書ではない解説書、といったところが狙われているようで、たしかに類書の見当たらない、野心的な試みといえるのかもしれませんが、印象としてはやはり労働法メインの本かなあという感もあり、最後に労働市場に関する労働経済プロパーの章が設けられてバランスしているというところでしょうか。