人と比べるものではない

私が愛読している「学士会会報」の本年4号、通巻871号に掲載されていた宮田亮東京芸術大学学長の講演要録から。捨てる前に備忘的に転記しておきます。東京駅の「銀の鈴」を制作された金属工芸の重鎮です。

…私が(ママ)学生に常々、作品は人と比べるものでもないし、人生も人と比べることではない、と言っています。自分のことは、自分が一番よく知っています。常に自分と比較をする。昨日の自分も素敵だったけれど、今日の自分はもっと素敵な作家になっている。今日よりも明日の自分は、さらにいい作品がつくれるだろうという期待を抱けば、今日を頑張ることができる。それをなし得た時は、すごく伸びていっている感じがします。そうしてでき上がった作品は愛をもっていますから、必ず人を感銘させることができるはずです。自分を大切に、自分に忠実ということが、作家の道を歩むなかで、若い人には大事なことではないかと思います。
宮田亮平「芸術は身近なもの」(2008)「学士会会報」871号所収

これはまさしく生産性運動であり、キャリアデザインそのものではないでしょうか。芸術の世界でも同じなのですね。